(経理初心者向け) 製品(サービス)の原価計算の種類について解説します!
こんにちは、ひめのです。
ものを仕入れて売るだけの事業ではなく、何かを作って販売するような場合には原価計算が必要となります。
原価計算にはいくつか種類があり、各産業の生産形態に応じて適用するべき計算方法が異なります。
実務上の対応はさておき、今回は原価計算についての概要を簡単に説明できればと思います。
製品別原価計算の種類について
製品別原価計算とは、原価の要素を一定の製品単位で集計して製品ごとの製造原価を算定することをいいます。
製品別原価計算は生産形態に応じて次のような種類に分られます。
①個別原価計算
②単純総合原価計算
③工程別総合原価計算(④⑤にも含む)
④等級別総合原価計算
⑤組別総合原価計算
①個別原価計算
個別原価計算は、種類が違う製品を個別に生産する場合の生産形態に適した原価計算で、建設業の工事別に原価計算するような場合が典型です。
個別的に直接費と間接費を集計して、製品の生産完了時に製造原価を算定します。
②単純総合原価計算
単純総合原価計算は、同じ種類を大量に生産するような生産形態に適した原価計算で、大量生産する家具や日用品などが該当します。
単純総合原価計算では、一定の期間(原価計算を行う期間)に発生したすべての原価要素を集計し製造費用を算出します。
そこに期首仕掛品を加えた上で、完成品と期末仕掛品とに分割するとともに、完成品の総合原価を生産量で除すことで単位原価が計算されます。
総合原価計算の特徴は、一定期間の生産量を原価集計の単位としているところです。
③工程別総合原価計算
総合原価計算において、二つ以上連続する製造工程があり、それぞれの工程ごとに総合原価計算を行うことを工程別総合原価計算といいます。
例えば清涼飲料水を製造している場合、製品となるペットボトルに入った飲料となるまでには、いくつかの工程を経て製品化されます。
したがって、そのような場合にはある工程から次の工程へ原価を振り替えていく計算手続が必要となります。
④等級別総合原価計算
等級別総合原価計算とは、同じ工程において同じ種類を大量生産するが、できあがる製品の形状・大きさ・品位等によって等級を区分する場合に適用する原価計算方法です。
例えば、同じジュースでも350ミリ缶と500ミリ缶を製造する場合や、150gと200gの2種類の冷凍ハンバーグを生産する場合などが該当します。
具体的な計算方法は、各等級製品に等価係数を定めて、完成品の総合原価か製造費用を等価係数に基づいて按分し、各等級の製造原価を計算します。
⑤組別総合原価計算
組別総合原価計算とは、異なる種類の製品をグループ別に(組別に)連続生産する場合の生産形態に適した原価計算です。
言い方を変えると、同一のラインで違う製品が作れる場合で、素材だけを変えて違う種類のものを生産するような形態が該当します(素材の違う衣類など)。
【等級別総合原価計算との違い】
等級別原価計算は同じ種類ではあるものの大きさや形が区分される場合であるのに対して、組別総合原価計算は、異なる種類の製品を大量生産している場合に適用されるという点で違いがあります。
【個別原価計算との違い】
個別原価計算も、異なる種類の製品を生産する場合に適用されますが、個別原価計算は個々の製品ごとに総合原価を計算しますので、受注生産のような形態を前提としているのに対し、組別総合原価計算は、大量見込生産を前提とした原価計算となる点で違いがあります。
原価計算の目的とは
原価計算の目的は様々ですが、「原価計算基準」において体型的にまとめられていますので、その内容を解説したいと思います。
①財務諸表作成目的
財務諸表に表示するための原価を集計するためには原価計算が必要です。
したがって財務会計とつながるように管理運用していく必要があります。
②価格計算目的
販売価格を決定する上では、原価情報が必要です。
原価割れするような販売価格を設定していては一向に利益は出ませんので、適切な利益を得るためには原価計算が必要です。
③原価管理目的
原価の標準を定めて実際の原価の発生を記録することにより、原価を管理することが可能となります。
標準となる原価と実際の原価とに差異が発生した場合は差異分析を行い原価低減の措置を講ずることに役立ちます。
④予算管理目的
予算の編成や予算統制のために必要な原価情報を提供することも目的のひとつです。
予算では売上だけでなく、利益目標も含まれますので、その利益を管理する上では原価情報は必要なものとなります。
⑤戦略的意思決定目的
経営計画を策定するにあたっての、原価情報を提供することも目的のひとつです。
計画を策定するにあたっては短期的・長期的な計画の中では原価情報(設備投資における設備に対する金額も含む)が必要となります。
あとがき
以上が、原価計算の概略についてでした。
事業に応じて適切な原価計算を適用して様々な目的に活用することになりますので、原価計算は奥が深く学びがいがある分野ではないかなと思います。