(会計監査のキホン) アサーションって何ですか?? →わかりやすく解説します!
こんにちは、ひめのです。
会計監査は公認会計士のみが行うことができる仕事であり、監査業務はただのチェックではなく監査論を踏まえた専門的な判断が必要なものです。
巷では月次監査や巡回監査なんて言われているものもありますが、それと本来の会計監査は別物です。
会計監査を行う上では確かめるべき要点があります。
その監査要点を「アサーション」と言いますが、このアサーションについては、会計監査のみならず何かを確かめたい時にもこの考え方が応用できます。
そこで今回は、アサーションについてわかりやすく解説したいと思います。
アサーションって何ですか??
アサーションとは、監査要点や経営者の主張とも言い、会計監査でのアサーションは以下の6つを指しています。
①実在性
②網羅性
③権利と義務の帰属
④評価の妥当性
⑤期間帰属の適切性
⑥表示の妥当性
監査人が監査対象の財務諸表に対して監査意見を表明するにあたって、財務諸表の各項目や構成要素について正しい処理や表示となっているかどうかを確かめることになります。
その確かめる監査手続を行うにあたり、各項目ごとにそれぞれのアサーションに適合した監査証拠を入手することになります。
具体的には、例えば「売掛金」という勘定科目に計上されている金額(期末残高)が、本当にその金額かどうかを確かめるために「①実在性②網羅性③権利と義務の帰属④評価の妥当性⑤期間帰属の適切⑥表示の妥当性」の各アサーションを裏付ける監査証拠を入手します。
では、各アサーションについて具体的に見ていきたいと思います。
①実在性
・・・本当に存在しているか
実在性とは、本当にその金額が存在しているかどうかという監査要点です。
例えば現金預金の場合、帳簿上〇〇銀行の期末残高が100万円と記録されている金額が本当に100万円だったのかという点について、監査証拠を入手して確かめます。
②網羅性
・・・全部計上されているか
網羅性とは、計上すべきものが全て計上されているかどうかという監査要点です。
例えば未払金の場合、期末日時点で計上されている金額以外にも、取引の事実があるにもかかわらず未計上となっているものがないかという点について、監査証拠を入手して確かめます。
③権利と義務の帰属
・・・その会社のものか
権利と義務の帰属とは、その資産は本当に会社のものかということや、その負債は本当に会社が弁済すべきものかということを指します。
資産や負債についての権利関係を確認する等により、権利と義務の帰属について確かめます。
④評価の妥当性
・・・その金額は妥当な金額か
評価の妥当性とは、価値が下がっているにもかかわらずその事実を会計上反映していないかもしれないこと等(逆もある)に対して、その計上額が妥当な金額かどうかという監査要点です。
例えば売掛金の場合、100万円で販売した商品の代金が未だ回収されず残っており、その回収が滞っている場合には評価の妥当性に疑義が生じます。
取引先の状況によっては、回収可能性が低いと判断する場合もあり、その際には売掛金が100万円で計上することは妥当ではないということになります。
したがって、計上されている金額がその金額で本当に妥当かどうかという点について監査証拠を入手して、その妥当性を確かめることになります。
⑤期間帰属の適切性
・・・その会計期間に計上するものなのか
期間帰属の適切性とは、対象となっている会計期間で計上するべきものかどうかということを指しています。
例えば売上の場合、本当は来期の売上にもかかわらず、期末日に無理やり計上していないかということについては、売上高に関する証憑類だけでなく、商品の入出庫や売掛金の確認等により確かめることになります。
カットオフと言ったりもします。
⑥表示の妥当性
・・・財務諸表の表示が適切か、適切に開示されているか
表示の妥当性とは、財務諸表の表示において、適切に表示されているかということや、注記情報に開示すべきことが開示されているかという点の監査要点となります。
例えば、借入金の1年以内返済分を流動負債の部に表示しているかという点や、有形固定資産に関する必要な注記情報を適切に記載しているかという点について確かめることとになります。
あとがき (なぜ経営者の主張と言われるのか)
実際の監査手続では、これら複数のアサーションを総合的に判断して、ある勘定科目の計上金額の正しさについて確かめ、最終的に財務諸表全体に対して監査意見を表明することになります。
さて、冒頭でアサーションとは「経営者の主張」とも言うと書きましたが、なぜそのように言われるのでしょうか。
財務諸表は、投資家や利害関係者に向けて経営者が表明するものであり、つまりは財務諸表を構成する各勘定科目に計上されている金額は「実在性・網羅性・権利と義務・期間帰属・評価の妥当性・表示の妥当性」があると経営者が主張しているわけです。
これらアサーションを踏まえて財務諸表が正しいと開示することになるため、アサーションは経営者の主張と言われます。
そして「その主張が正しいかどうかを会計監査において確かめる」というわけです。
以上、アサーションについての解説でした。
会計監査のみならず、アサーションを意識することにより、対象物の正しさを確かめる際には有効な考え方となりますので、参考程度に知っておくことは損ではないと思います。