(経理実務のポイント)仮払金・立替金の管理がカオスになる原因とは??

こんにちは、ひめのです。
経理実務のカオスシリーズ第3弾です。

今回は、仮払金・立替金の管理がカオスになる原因について書きたいと思います。仮払金や立替金を多用している人は要注意です。

仮払金・立替金で管理するものとは?

仮払金・立替金は一時的に使用する勘定科目です。意味合いとしては、次のような場合にそれぞれの科目を使用します。

【仮払金】
一時的に支出して短い期間で精算されることを想定した科目です。支払ったものの具体的な金額が最終的に決まっていない場合や、従業員等への仮払い経費などで利用します。また、固定資産の購入など、1回の仕訳入力では意図した計上ができない場合に、一旦仮払金を通して処理することもあります。

基本的に、決算時に残っている科目ではなく、通常は期中に残高がほとんどなくなることが前提となるものと思います。

【立替金】
文字通り、誰かの代わりに支払いを行なった場合に使用する科目です。例えば、従業員に帰属する支払いを会社が窓口となり代わりに支払った場合や、事業上の取引において、取引先の代わりに取引先に帰属する経費等を支払った場合が該当します。

立替金も、後日立て替えたお金を返してもらいますので残高が最終的にはゼロになる性質の科目です。

仮払金も立替金も、残高が残り続ける科目ではないため、ずっと残高が残ってしまっている場合や、毎期残高が増えていくような状況は好ましくありません。

残高が残ったり残高が増えていく要因が明確に把握され、解消時期がわかっていれば問題ありませんが、残高が残ったり増えたりすると大抵の場合は不明な残高が積み重なってしまっているケースが多いです。

仮払金・立替金の管理がカオスになる原因と実務上の対策とは?

仮払金・立替金の残高が残ったり増え続けたりしてしまい、管理がカオスとなってしまう原因は何でしょうか。

管理に困らないように注意すべき点と併せて解説していきたいと思います。

仮払金

従業員への経費の仮払い制度を採用しているような場合は、従業員ごとの仮払金残高を管理すべきですが、仮払金の精算が不定期だったり、従業員の精算書に不備があったりすると、残高が正しく管理できなくなってしまう原因となります。

したがって、経費の仮払い制度を採用するのであれば、精算は毎月行い精算漏れや報告漏れがないようきっちり管理する必要があります。

また、支出の内容が分からないからと、不用意にすぐ仮払金勘定を使って処理してしまうと、仮払金として処理していたことを忘れてしまって、後から取り扱いに困ることにも繋がります。

仕訳入力する立場としては、預金残高をとにかく合わせたいと思ってしまうため、確認に時間がかかりそうな場合は、とりあえず仮の科目で処理してしまって先に進めるケースがあります。

業務の進め方としては、それも悪くありませんが、そのような仮勘定を使うのであれば、顛末までちゃんと管理して仮勘定で処理したものが放置されないようにする必要があります。

立替金

事業の特性によっては頻繁に立替払いが発生することもあります。

契約上、取引先の支払いの管理まで行うサービスを提供するような場合もありますので、立替払いは仕方がないケースも多いです。

もし色々な取引先の立替払いが多い状況があると、自社の支払業務が多忙になり、どこの取引先のための支払いか適切に把握できなくなって、立て替えたお金を回収し忘れてしまうこともあり得ます。

立替金でカオスにならないためには、どの取引先または誰のための支払いなのかということを支払い時に分かるようにして、後の会計処理仕訳の際に計上誤りしないように留意しなければなりません。

立替金の場合、自社の債務と間違えるリスクもありますので、本来誰かから回収しなければならない他人の債務にもかかわらず、自社の経費として処理してしまうと、残高としても残らなくなるので、経費科目に埋もれてしまうと後で見つけ出すのは至難の業となってしまいます。

したがって、支払いが自社のものか他人(他社)の立替になるものかという判断と、立替金として処理した場合、誰から回収するべきかという管理の2つのポイントがあり、それぞれで管理上間違わないよう留意した業務体制を整える必要があります。

帳簿上で残高を管理する場合には、入力誤りを誘発させないよう、その前段階での資料の管理等にも気を使う必要があります。

あとがき

以上が、仮払金・立替金の管理がカオスになる原因とその対応策についての解説でした。

どちらの勘定科目も定期的に残高をチェックし、残高の内訳が明らかな状態を維持しておくことが、管理のカオス化を防ぐことにつながります。

仮払金・立替金の勘定科目を多用することがないよう留意しつつ、使う場合には残高の履歴が追えるようにしておくことが大切です。