【企業の財務】キャッシュ・フロー可視化で意識すべき、お金の管理の『時間軸』(その2)
こんにちは、ひめのです。
前回は、キャッシュ・フロー可視化に関するポイントとして時間軸を意識する点を書きましたが、今回は、キャッシュ・フローの可視化はどのような管理に活かされるのか、また、キャッシュ・フロー管理の性質を踏まえた注目点について書きたいと思います。
早速ですが、キャッシュ・フローの管理には大きくタイプ別に分けると、短期的な管理と中長期的な管理に分けられます。
まずは、それぞれについて解説していきたいと思います。
短期的なキャッシュ・フローの管理
まずは、キャッシュ・フローの短期的な管理に関してですが、この管理に利用することが多いのが、「日次資金繰り表」です。
こちらは、たとえば銀行口座ごとや、すべての口座を合算した状態での日次ベースでの資金の推移を記録し管理していきます。
銀行の通帳などをイメージされるとわかりやすいかもしれません。
それを、現在から未来に向かって予定を記録することで、将来の残高推移を予測できます。
日次資金繰り表では、例えば下記のようなことが管理できます。
■月中のうち、一番残高が少なくなるタイミングを把握する
■口座間での資金移動のタイミングを測る
■予定外の追加的な支払いをすることになった場合、その余裕度を把握する
■一時的に資金ショートが見込まれる場合に、短期的な対策として、入金を早めたり支払いを遅らせたりすることの可能性について検討とその事前準備
■予定と実際の入出金を比較して入出金漏れや未確定取引の有無を確認
上記のうち、短期的な資金対策の具体例としては、たとえば、取引先と交渉して入金を早めてもらったり、支払いを遅らせてもらったりということが考えられます。
また、ファクタリングを利用して入金を早めるとか、あと決済サービスを利用して支払いを遅らせるということも想定されます。
いずれにしても、これらの対策は事前に把握できていなければ急に実行できるものでもありません。
中長期的なキャッシュ・フローの管理
つぎに中長期的なキャッシュ・フローの管理に関してですが、この管理に利用することが多いのが、「月次資金繰り表」です。
月次資金繰り表は、いわゆる一般的に認知されている形式の資金繰り表と思っていただいて良いかと思います。
金融機関で借入を行う際に提出を求められたりもしますので、こちらの資金繰り表は馴染みのある方も多いかと思います。
月次資金繰り表では、経常的なものとそれ以外や、営業・財務・投資といった区分に分け、それぞれの区分で入出金の性質に合わせた資金科目で集計するのが一般的です。
資金科目に関しては、会計の勘定科目のように、決まった定義はないので、各々が管理しやすいように好きな名称を付すのが良いと思います。
収支計算の結果と月初残高を加味することで月末残高が算出されますので、会社の全体的な資金残高が中長期的にどのように推移していくかを月次資金繰り表で確認していくことになります。
月次資金繰り表では、あまりも細かく科目や内訳を付すと行数が多くなり、逆にまとめすぎると何の入出金かパッと見でわからなくなるので、例えばそれをExcelで行おうとすると、ただ数字が羅列しているだけでわかりにくい資金繰り表になることも懸念されます。
したがって、詳細が画面上ですぐ確認できるような専用のアプリケーションやサービスを活用することもお勧めです。
月次資金繰り表では、例えば下記のようなことが管理できます。
■法人税消費税といった納税や、比較的高額になる臨時の報酬(たとえば、人材採用の成功報酬のようなもの)などの、不定期の大きな支出の時期を把握する
■本業のキャッシュ・フローがプラスとなった上で、返済までカバーできているかを確認する
■企業の成長戦略や事業計画を実行することよって、キャッシュ・フローがどのような予定になるかを把握する
■新たなビジネスチャンスが掴めそうな話があった際、その案件が先行投資の必要な桃の場合、そのための資金的余裕があるかを確認する
中長期的なキャッシュ・フローの把握は、特に既存の事業の維持と成長投資をどうすればうまく両立していくことができるかを考えるための土台になります。
したがって、中長期的なキャッシュフローを可視化おくことで、色々な成長投資に対して、早めに資金調達の準備に取り掛かることができるのではないかと考えます。
時間軸に逆らわない管理
「財務の管理は、現在から未来に目が向けられている中で、会計の記録は事実に基づき事後的に行われる」という管理の時間軸は揺るぎないものです。
その時間軸を踏まえて、お金の流れを体系的に管理することを意識すれば、同じ事象に対して何回も記録したり管理が非効率になったりすることを避けることが可能になります。
もっと端的に表現すると、入出金の管理が中心となり、その管理の結果が適切にデータベース化されて蓄積されていれば、事後的な記録に再利用しやすくなり、時間軸に沿った効率的な管理につなげることも可能ではないかと考えています。
入出金の管理が体系的に行われることということは、すなわちキャッシュ・フローが常に可視化されてきますので、管理業務の向上や経営に関する意思決定の質が向上することも期待できると思います。
未来の数字は自動化できない
キャッシュ・フローの可視化は会社の未来のお金の流れを把握し、企業の成長のためのリスクテイクをしやすい状況を自ら作ることでもあります。
その未来の数字は、予定のみならず予測であり経営者の考えであり思考が可視化されたものです。
これらは自動化できないし、また自動化すべきものでもないと私は考えています。
確かに、昨今のAIや機械学習といったテクノロジーを利用することで、過去のデータや外部要因を詳細に分析することで、未来の予測値を自動的に算出することはある程度可能だと思います。
しかし、そこから得られた情報を鵜呑みにして、会社の未来を委ねることはそれはそれでリスではないかと思います。
「自らの事業を今後どうしていくか」「どうなりたいか」といったようなことは、自分達の「意志」であって、その「意志を数字に落とし込んでいく過程を経る」管理が必要であり、そうすることで、自社のキャッシュ・フローをより深く理解できるとともに、未来の数値を作り込んでいく過程で様々な思考を巡らせていくことこそが、経営管理上は大事な部分です。
そしてそれは、なかなか自動的には処理できない部分ではないかと思います。
まとめ
以上、タイプ別のキャッシュ・フロー管理の特徴と、キャッシュ・フロー管理の性質についての解説でした。
より実効性のある、キャッシュ・フローの管理を実現するためには、上記にも少し触れましたが、体系的に管理できるアプリケーションやサービスを利用するのも良いかと思います。
弊社が提供する資金繰り管理システムmilestoneはその一つであり、未来のキャッシュ・フロー可視化を体系的に行い習慣化して、持続可能な管理を実現するためのツールであり、milestoneは、同じ情報をばらばらに管理することなく、1回の取引登録で多面的な時間軸の管理が実現できますので、会計ソフトでは実現しづらい未来の予定管理をメインに捉えたサービスとなっています。
もう、すでに、このような管理は当たり前としてやっている方もいらっしゃるかもしれませんが、もし、あまり意識していなかった、という方がいらっしゃいましたら、必ずしも弊社のmilestoneでなくても良いので、この機会にぜひ、未来の数字について可視化して、管理していくことを定着させていただけると嬉しいなと思います。