なぜ「milestone」は資金繰り管理に特化したシステムなのか?

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こんにちは、ひめのです。
私が代表をしている弊社では、資金繰り管理に特化したクラウドシステム「milestone」を提供しています。

会計に関するサービスが数ある中、なぜあえて資金繰りの管理に特化したサービスを開始したのか、その理由について書きたいと思います。

なぜ、資金繰り管理に特化したシステムなのか?

理由は単純です。

「経営」という目線で見たときに、資金繰りの管理が一番重要であるからです。

どんなに利益が出ていても、どんなに帳簿上の数字が良くても、資金繰りが悪化することはあり、資金繰りがうまく管理できていなければ経営はうまくいきません

その証拠に、会計の数字を財務会計に落とし込む前に先行的な管理が必ずあり、それが資金繰りの管理です。

事業が円滑に回るよう日々のお金の管理を行うと同時に、自社の資金余力を予測将来に向けた経営判断をしていくことが、財務会計への数字の落とし込みの前に発生しているのです。

つまり、財務会計システムを利用して管理された財務会計から得られる情報よりも重要視された情報を先行的に経営では求められており、それが資金繰りの管理から得られる情報であることは、すでに多くの企業が身をもって理解していることでもあります。

にもかかわらず、その部分に対して特化したシステムは特に存在しておらず、結果として管理も企業に応じたさまざまな方法となってしまっているのが今までの現状です。

財務会計よりも先行して資金繰りの管理があり、その後に財務会計に数字が反映されるという時系列が存在している中で、「経営」という目線で見たときに、資金繰りの管理が一番重要であるということを気づいているようで気づいていない人も多いことから、それらを改めて強く再認識してもらうためのシステムが「milestone」というわけです。

数字の管理の中心が財務会計システムであることによる危うさ

今まで経営の中で数字の管理の中心を担ってきているのは財務会計システム(会計ソフト)でした。

その理由は、制度としての「義務化」された財務会計の存在と、損益偏重の経営管理があったからです。

制度としての「義務化」された財務会計の存在の弊害

世の中の会計に関係するITシステムは財務会計システムが中心となったサービスが展開されているのが一般的です。

その延長線上で「財務会計をいかにラクに簡単にするか」ということばかりフォーカスされているため、確かにそれらは必要なことではあるものの、帳簿をつけること以上に事業そのものに直接影響するお金の管理や取扱にフォーカスしたものがオプション的な捉え方となっていることが多いのが現状と言わざるを得ません。

そのため「やらなければならないこと」「本質的にやるべきこと」が混同していて(重なる部分もありますが)、経営者やマネジメント層が本来優先的に考えなければならないことがぼやけてしまっていると私は感じます。

本来重要視しなければならない資金繰りの管理は、事業を行う上では必要であるため各企業で既に行っているにもかかわらず、財務会計の前に各自で様々な方法により管理せざるを得ない状況からあまり注目されることもないため、いつの間にか資金繰りの管理は世間的に優先順位が低い管理業務との印象を受けてしまっているのではないかと思います。

ちなみに、財務会計システムでは資金繰り管理はできません

先ほども書きましたが、資金繰りの管理は財務会計から先行して行われる管理であり、さらには過去よりも未来重視の管理であるため、財務会計システムでは管理することが極めて難しいためです。

損益偏重の経営管理の危うさ

これからの時代は簡単な資金繰り管理では対応しきれなくなることが見えています。

同時にPLの損益だけ見ていれば良い時代ではないことも明らかです。

経済全体が右肩上がりで、やればやるほど利益が出る状況であれば、自然と資金は回るし戦略的に資金を投資しなくても売上が上がっていくため特に問題はありません。

しかしながら、昨今は感染症のパンデミックや、世界経済の不安定さテクノロジーによるライフサイクルの短期化等により、以前にもまして不確実性が高まっていると同時に競争も激しいものとなっており、そんな中では、損益よりも「キャッシュ」を中心に管理する経営管理にシフトしなければ、事業環境の変化にうまく対応しきれなくなってしまいます。

したがって、利益が出るかどうかよりも、事業活動の成果として生み出されたキャッシュがいつ入ってきていつ出ていくのかというところを注視した経営管理を行うことの重要性が益々高くなっています。

また、正直な話、月次試算表をきれいに作るよりも資金繰りの管理をきめ細かくきっちりしている方が、信頼度は高いです。

結局のところ、試算表を始めとする帳簿は発生主義で計上していますので現金化してない部分も多く、だからこそ極端に言えば粉飾もできてしまいます

現金(キャッシュ)は事実であり、そこに嘘はつけないのです。

確定した決算ならまだしも、上場企業でもない中小企業において、事業年度の途中における月次の試算表の数字は如何様にでもできます。

上場会社並みの管理体制がない中小企業が月次の試算表を作ってその数字を変更せず確定させられる企業がどれほどあるでしょうか。

決算を迎えていない間はいくらでも修正ができてしまいますので、売上を多く見せることだって簡単にできるわけです。

会計士等の見る人が見れば違和感はわかりますが、試算表に売上高と売掛金が載っていたらそれらしく見えてしまい、資金調達等で誤った判断を下すこともあり得ます。

一方で、キャッシュ・フローは現金が動いた事実だけが中心となるため、資金的に未実現の内容まで含まれません。

また、資金繰りの予定に関しても、もし大きな売上を架空で予定として計上したとしても、資金の流入予定がそれまでのキャッシュの推移から急に跳ね上がることにもなりますので、それだけで違和感が明確に資金繰り予定表には現れてきて、追求することができます。

あとがき

資金繰り管理システムが企業になくてはならない存在となる日が近いと考えています。

私が会計士であり会計を深く知った人間だからこそ、今ある会計に関する概念や実務そのものに対する疑問を投げかけているわけです。

会計を知らない人は、今ある制度に乗っかったサービスしか考えられませんので、そこが根本的に違う部分ではないかと個人的には思っています。

こういった「考え方」という点についてもこれからのブログで定期的に発信していきたいと思いますので、今後も見ていただけたら幸いです。