【企業の財務】キャッシュ・フロー可視化で意識すべき、お金の管理の『時間軸』(その1)

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こんにちは、ひめのです。

キャッシュ・フローを可視化するといっても、何のために可視化するのかという点が相合になっていたり、可視化したあと継続的に管理していくことができないと、ただの自己満足にもなりかねません。

せっかく、それなりの時間を使って自社のお金の流れを見える化するのですから、例えば一度資金繰り表を作っておしまい、ということになってしまうともったいないです。

そこで今回は、キャッシュ・フローを可視化することをより価値あるものにするためのポイントについて、書いてみたいと思います。

「会計の帳簿付け」と「お金の管理」は一元管理が難しい」

企業の数字に関連する業務というと、どういうものを想像するでしょうか。

■会計ソフトに取引を入力
■試算表や決算書を作成
■税務申告書を作成
■会計数値を利用した財務分析の実施

などが思い浮かぶかと思います。

ほかにも、より実務的で経営に近い下記のような業務もあります

■日々の入出金の予定管理
■事業や経営に関することの意思決定(数字が絡むことが多い)
■今後の事業計画の検討
■資金の計画の検討

これらは、実際体系立って管理していなくても、ちょっとエクセルに書き出すなど、何かしら行っていることではないかなと思います。

今列挙した業務は性質として、前半は過去の数字の管理で後半は未来の数字の管理に分けられます。

このうち、未来の数字管理の特徴は、売上や利益というような、いわゆる「会計情報」よりも、キャッシュ・フロー、つまり「お金の流れ」の管理が中心となることが多いです。

なぜなら、例えば、仮に事業で何かしようとした時に、大抵の場合はキャッシュ・フローを伴うことが多いため、未来の物事については、基本的にキャッシュ・フローをベースに今後どうなるのかを考える方が良いですし、それが通常かと思います。

この、過去と未来という時間軸の流れで考えると、未来の数字を管理した結果、過去の事実となったものが帳簿へ記録されていく、という時間の流れがあります。

言い換えると、「お金の流れの管理が事業活動の中心にある中で、それが日常的に更新され、帳簿への記録はあくまでも「事後的な業務」であると言えます。

そして、この時間軸がちがう管理は、実際、会計ソフトなどで一元管理することは難しいと言う側面があります。

理由としては、例えば、過去の数字を扱う管理は、正しい決算や正確な税金計算が最終目的となりますので、正確な記録が必要になります。

一方で、未来の数字を扱う場合には、明確な予定もあれば、想定される「予測」を数値化したり、もっというと、今後の計画や事業の展開にあたっての「自分達の願望」が数字として可視化されるので、そういった不確定要素も含みつつ更新していく、というところに未来の数字の管理には特徴があります。

会計帳簿には正確な記録が求められる中に、会計ソフト上で未来の予測や展望までを混在してしまうと、会計帳簿の管理が煩雑になってしまって、却って間違うリスクも高くなります。

実際、私が見てきた多くの会社でも、帳簿付けと、日々のお金の管理や将来の予測などは、それぞれ別々で管理されているのが現状で、それは、この時間軸の関係から一元管理が難しいという点が影響しており、結果的にそのような別管理になっていると考えています。

キャッシュ・フロー可視化のポイントは、「現在〜未来」の時間軸

そもそも、なぜキャッシュフローを可視化するのか、ということを整理すると、キャッシュ・フロー可視化で押さえておくべきポイントが見えてきます。

キャッシュ・フローを可視化する目的には、短期的な部分と、長期的な部分があります。

このうち短期的な部分は、

「入出金の予定を把握しつつ、来月以降の資金残高の状況を、事前に把握すること」

が主な目的であり、具体的には、来月資金ショートしないか、予定通り支払いできるか、といったことを把握して管理していきます。

一方で、長期的な部分は、

「現状を踏まえて、今後の予測を立てて、中長期的にお金がどのように推移して、資金残高がどうなっていくかを把握すること」

が主な目的であり、具体的には、例えば、開発にかかる投資であったり、追加の人員確保や広告費の使用といった、通常事業を維持する支出以外の「事業の成長のための投資」に対してどれだけの資金的余裕があるか、そしてそれはいつのタイミングで可能なのか、ということを把握して管理します。

つまり、キャッシュ・フローを可視化するということは、これから行う行動や経営の意思決定のために必要な「未来に関する数値情報」を得ることが目的ですので、過去の数値を扱った、資金繰り表やキャッシュ・フロー計算書は、それはそれで価値ある情報ではあるものの、キャッシュ・フロー可視化においては1番の目的ではない、ということになります。

したがってポイントは、キャッシュフロー可視化が、未来に軸を置くことを前提として、

「お金」が実際に動く「時期」と、その「金額的ボリューム」がどれくらいなのか、という情報を、いかにして得るのか

というところがポイントであり、そのためには日々どういった形でキャッシュ・フローを管理していくことが望ましいか、ということを考える必要があります。

まとめ

「キャッシュ・フローを可視化する」ことは、単に資金繰り表を作ることではありません

可視化してどのような情報を得たいのかというところを明確にすれば、自ずと資金繰り表作って終わりではなくその後の管理をどうしていくべきか、というところに意識が向くのではないかと思います。

もう既に、このような管理は当たり前として実行している方もいるかもしれませんが、もし、あまり意識していなかったという方がいましたら、このブログをきっかけに、未来の数字について可視化して、管理していくことを定着させていただけると、嬉しいなと思います。