アスリートに関わるお金のハナシ 〜視点を変えれば意識も変わる〜
こんにちは、ひめのです。
今回はアスリートとお金の関係について書いてみたいと思います。
アスリートに関わるお金のハナシ
スポーツ競技によって差はありますが、アスリートが活動するためには様々な費用がかかり資金が必要です。
また、自分自身だけでなく競技自体を運営する側や大会の開催などにも大きな費用がかかっています。
どのようなところにお金がかかっているかを認識することは、アスリートや競技に関わる人すべてにおいて大切なことだと思います。
①直接的にかかっているお金
アスリート自身が活動するために直接的にかかっているお金にはどういうものがあるでしょうか。
実際には複数人で負担する場合や契約メーカーが負担する場合もあるかもしれませんが、自分一人が活動すると例えば次のような費用が想定されます。
・用具代
・練習にかかる費用(場所代、コーチ人件費、その場の消耗品など)
・遠征費(旅費交通費など)
・大会参加費
・栄養管理など体のメンテナンスのための費用
など
以前「1人の選手が1年間活動するとどれくらいコストがかかっているか」を試しに仮の試算をして集計してみたところ、バドミントンの実業団選手の場合は(私がバドミントン経験者のため)約400万円かかっている計算になりました。
アスリート自身やチームが負担していないものも含まれている金額なので、必ずしも自分自身が負担しているわけではないですが、全体の規模感を知るとたくさんのお金がかかっていることがわかります。
②間接的にかかっているお金
次に間接的にかかってくるお金についてみていきたいと思います。
どのスポーツ競技も、通常は統括団体が存在しており、そこに競技者は登録しています。
趣味で楽しくプレーしている人もいれば、日本や世界のトップを目指している学生や社会人選手がいて、その中には日本代表選手も含まれています。
アマチュアスポーツを維持普及するための資金は例えば次のようなものがあります。
・加盟登録費
・大会の参加費
・公的な補助金(維持・普及・強化)
・民間からの寄付
・スポンサー料
など
これらの資金は競技団体の維持運営管理や競技の普及発展に使われており、一部の選ばれた選手の育成強化費にも割り当てられます。
つまり、都道府県や国の強化選手として選ばれたアスリートは、それぞれの統括団体の資金に加えて国の税金の一部もかけられていることになります。
アスリート自身がお金について理解することの重要性
アスリート自身が、自分ではない誰かが自分の活動費用を負担している事実を知ることは重要です。
そうすると、自分自身が上達して大会で結果を出せたのは自分一人の力だけではないことが理解でき、アスリート自身の競技に対する意識も変わって今まで以上に時間や環境を大切にするようになるなど、競技に向かう姿勢も変わってくるのではないでしょうか。
また、監督・コーチといった指導する側も、お金に関する部分を共有していくことを意識すれば、アスリートが競技者としてだけでなく人としての成長を促すことができるのではないかと考えます。
アスリートには、目に見えている身近な家族やコーチだけではなく、競技を行うすべての人の登録費からはじまり様々なところから資金のサポートがあって現在地にたどり着けているということを認識して、日々のトレーニングに励んでもらいたいなと思います。
結果を出すためにはお金がかかる。しかし結果だけではない大切なこととは?
今年は東京オリンピックが開催され、日本中が大いに盛り上がっていました。
一方で、メダルをたくさん取るためには国際舞台で活躍できる選手を育てなければなりませんので、選手強化には多くのお金がかかっています。
当然、良い結果が望めるところに多くのお金が集まるわけですが、更なる育成・強化のための多くの資金援助を得るには、どうしても「結果」を求めてしまいます。
ここで危惧するのは、「競技成績偏重の選手育成になってしまうこと」で「アスリート自身の価値を下げてしまっていないか」ということです。
アスリートは、アスリートとして努力し続けただけででも特別な経験をしており、スポーツに限らずさまざまな分野でも活躍できる可能性を秘めています。
その可能性を潰してしまわないためにも、アスリートである前に一人の人間であり一社会人であるということを念頭に、アスリートが競技を通じて人間性も高められる環境を整備できるよう、サポートする人間が気を付けておかなければならないのではないかと思います。