(経理初心者向け)棚卸資産って何??わかりやすく解説します!
こんにちは、ひめのです。
今回は、棚卸資産(実務上は在庫とも言ったりします)についてわかりやすく解説していこうと思います。
棚卸資産には、「原価計算」や「棚卸資産の評価方法」、「棚卸資産の資産性」に関する論点がありますが、その点については別の機会に書くとして、今回は、棚卸資産はどういうもので実務上どのように扱われるのかという経理初心者向けの内容を書きたいと思います。
棚卸資産って何??
棚卸資産といっても種類がいくつかあります。具体的には、つぎのようなものが棚卸資産として分類されます。
【商品及び製品】
→「仕入れたが未だ販売していない商品」
→「製造したが未だ販売していない製品」
【仕掛品】
→「製造途中の未完成の製品など」
【原材料】
→「製造等に使用する前の材料など」
【貯蔵品】
→消耗品の中で一定の価値を有しており未使用のもの
→未使用の切手や印紙など
棚卸資産はBS(貸借対照表)に計上され、将来PL(損益計算書)の売上原価や販管費の科目になる科目です。
ただし、実務的には上記の意味合いの通りの順序で会計処理するとは限らないため、理論的背景と算出手順については少し注意が必要です。
例えば商品について次のような順序で計上・振替されていくのが一般的です。
①期首たな卸高の振替
→期首のたな卸高(前期末の棚卸資産残高)をPLの「期首棚卸し高」に振り替える
②商品の仕入れ
→PLに「仕入高」が計上される
③期末たな卸高の計上
→期末のたな卸高をPLの「期末棚卸し高」として計上する(費用のマイナス要素)
④「①+②-③」という計算により売上原価が算出される
つまり、PL上の売上原価の計算は、前年度末に残っている在庫の金額と当期に計上した仕入高から、当期末に残っている在庫の金額を差し引く計算となります。
このほか、例えば仕掛り中のプロジェクトがある場合には、まだ売上が実現していないため、それまでにかかった人件費や経費などは、「仕掛品」等の科目に振り替えられます。
棚卸資産は利益調整に利用される??
棚卸資産の科目は利益調整に利用されることがあります。
あらかじめ申し上げておきますが、利益調整は不正会計ですので絶対行ってはいけないことです。
そのことを念頭に、健全な会計実務の実現のために、棚卸資産がどのように利益調整に利用されるのかを解説したいと思います。
全段の解説の通り、PL(損益計算書)上の売上原価が計上されるロジックは、
期首たな卸高 + 当期仕入高 - 期末たな卸高
です。
期末たな卸高を実際の金額よりも過少に計上した場合、売上原価が大きくなります。
逆に、期末たな卸高を実際の金額よりも過大に計上した場合、売上原価が小さくなります。
したがって、不正に利益小さくしたいと考える場合は在庫金額を少なくし、不正に利益を大きくしたい場合は在庫金額を大きくするという会計操作が行われます。
在庫は常に動いているものであるため通常はきっちりとした在庫管理が必要です。
期末現在のたな卸高を正確に把握していない場合や在庫管理を適切に行なっていない場合は不正会計の温床になやすいため、外部から監督する立場の場合は注意が必要です。
棚卸資産を利用した利益調整に限らず、不正会計にはどこかで綻びが出ますので見る人が見ると異変に気づくことができます。
棚卸資産を利用した利益調整による異常値等の例には次のようなものがあります。
・原価率が異常値となっている
・期末日付近や翌期に多額の返品処理がある
・毎年どんどん棚卸資産の金額が増加している
・期末日付近に不自然な多額の仕入がある
・実地棚卸を行なっていない、又は実地棚卸の記録と一致していない
これはあくまでも一例ですが、意図的に利益調整を行なっている場合は、どこかに異常値が出たり、エビデンスに問題があったりします。
必ずしも異常値があると利益調整を行なっていることにつながるわけではありませんが、不正な会計処理を行うと会計帳簿上のどこかに歪みがでてくることを理解していただければと思います。