会計業務を会計事務所に丸投げしても、会社で管理する数字はある

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こんにちは、ひめのです。
会計事務所に会計業務を委託している事業者はとても多いと思います。とはいえ、すべてを丸投げしてOKというわけにもいかないのが経営です。今回はその辺りについて書いてみたいと思います。

会計業務を会計事務所に丸投げしても、会社で管理する数字はある

中小企業や小規模事業者であれば、会計業務を会計事務所にお任せしているところも多いかと思います。

確かに、管理部門にコストがかけられないため、営業活動に集中するために会計業務を委託することは一つの手段かと思います。

しかし、経営に集中したいからという理由で委託しているのであればそれは違います。
なぜなら、会計も経営の一部だからです。

経営は生き物で、そこでは常にお金が動いています。
いくら会計業務を外部に委託しても、それだけでは適切に経営状況を把握できていない可能性があります。

事業を行う上では会計記帳以前に、次のような業務が発生します。

●見積書を出し、受注して商品やサービスを提供し、請求書を出して、入金を確認する
●商品や業務を発注し、提供を受けたら請求書が来て、支払いを行う

ここまで外部に委託してしまうことは稀ですので、この部分は自社で管理し続けるケースが多いと思います。

一方、会計事務所から提供される試算表(売上や利益)や、資金繰り表(というよりもキャッシュ・フロー計算書)といった情報は、良くて1~2か月前情報です。
特に資金繰り表に関しては、過去の資金の状況を見ても仕方がないので、1~2か月前の情報を見ていては経営に活かすにはあまり意味のない情報となってしまいます。

お金の管理やコントロールがうまくできていないと、資金繰りが厳しくなり、最終的に倒産してしまう恐れもあることから、お金の管理は日々把握するものであり外部に任せるものではありません。

たとえ記帳業務全般を会計事務所に丸投げしていたとしても、自社でお金を扱わなくなるわけではないため、扱うお金の流れを見える化し、タイムリーに把握することで経営に活かす体制を整える必要があります。

お金の管理は資金調達に影響する

外部からの出資や金融機関からの借入があると、会社外部から「経営者が適切に管理監督できているか」という評価の目が光っています。

お金をきちんと管理できていないと、取引先への代金や従業員の給料が支払えなかったり、事業の成長のために適切に資金を使えなかったりします。

そのようなお金の管理を適切に行えなかった場合、具体的には次のようなリスクが顕在化します。

・取引先へ代金が支払えない、遅れる
  →信用されない=取引を円滑に行えない、継続できないリスク

・従業員の給料が支払えない、遅れる
  →定着しない、優秀な人材が集まらないリスク

・事業の成長に対する資金の投資を適切に行えない
  →ビジネスチャンスを逃す、ライバル社に先を越されるリスク

・管理状況について外部からの評価が下がる
  →追加の資金調達が行えないリスク

何かあってからの対応では遅いため、リスクが顕在化しないよう適切に管理する必要があります。

経営者には、「どのように業務が行われてどのようにお金が流れているか」を監督する責任があり、最終的なお金に対する責任があります。

しかも、それは会計帳簿では管理しにくい部分です。

外部から資金調達している場合や、これから調達を行おうとしている場合、業績や将来性もさることながら「自社で適切にお金の管理ができているか」というような、管理の状況を問われます。

外部からの資金調達は、他人のお金を使うことになりますので、当然適切に扱っていることを証明していかなければなりなせん。

したがって、管理といっても自分の頭の中で管理するのではなく、第三者が納得できるよう日々記録して明示できるようにしておく必要があります。

会計帳簿が出来上がっていても、日々のお金の管理が自社で適切に行われていなければ、第三者から見ると信頼性が低くなってしまいます。

会計帳簿をはじめ、試算表や決算書・税務申告書の作成は専門的であるため、専門的なことは会計事務所に任せてしまう方が効率的です。
一方で、自社では業務の管理やお金の管理(資金繰りの管理)を重視して体制を整えることが必要で、特にお金の動きを把握することで事業リスクに備えることが重要になると思います。