(経営と数字)資金繰り表を作ることと資金繰りを管理することは違う

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こんにちは、ひめのです。
資金繰り表を作った経験がある人は結構いると思いますが、中小企業における資金繰り表作成のきっかけは、銀行につくれと言われて作ったとか、融資を受けるために必要だったとかといったことが多いのではないでしょうか。

しかしながら、資金繰り表は作って終わりではなく資金繰り表を作った後の管理が大事です。

仮に融資を受けたとしても、その後は銀行は逐一資金繰りの管理を助けてくれません

会計事務所のサポートを受けられる状況だったとしても、お金が動く経営の現場では先行的に自分で管理しなければならないことに変わりはありません。

そこで今回は、資金繰り表を作ることと資金繰りを管理することの違いについて書いてみたいと思います。

資金繰り表を作ることと資金繰りを管理することは違う

資金繰り表を作ること自体と、資金繰りを管理することは違います。

資金繰り表は色々な外部的必要性から作成されることもありますが、資金繰りを管理することは外部から促されるまでもなく経営において必要なこととして経営者や企業自らが自己の管理として行うべきことであります。

資金繰り表を作るケースとして一番多いのが、融資を受けるために作成する場合がありますが、融資を受けるためだけに作った資金繰り表は、融資を受けた後はそのまま放置されて改めて見ることがない代物となってしまっていることが良くあります。

そもそも資金繰り表とは、本来将来の資金のマネジメントを行うための1つのツールであり、経営と密接に関係し常に更新しながら資金の状況を把握し続けるために活用するものです。

しかしながら、融資の申し込みで必要だからということで、その際に作成はしたものの、その後に作成した資金繰り表が経営に活かされずにいることは珍しくありません。

これらは創業当初の企業中小企業でありがちなケースですが、このようなことを繰り返していては、昨今の変化が激しい事業環境の中では、経営を維持していくことが難しくなってしまいます。

資金繰りを管理することの大切さ

一昔前と違い、今の事業環境は大きく異なっています。

まず、現在は高度経済成長期のように市場全体が右肩上がりで特に資金のことを気にしなくても自社の業績が上がっていくような事業環境ではありません。

昨今ではDXが加速しており産業自体が大きくトランスフォーメーションしようとしている中、中小企業はそこへの順応が求められている状況です。

また、少し前からインターネットにより世界の垣根がなくなったことにで市場規模は一気に世界へと広がった一方、市場の競争も世界規模となっております。

インターネットがあるから実現している事業も多く、この先もネットワークありきの産業構造になることが想定できます。

さらにはコロナ禍をはじめとしたリスクの顕在化により、今後いつリスクが顕在化してもおかしくない世の中であると認識されるようになった今、過去の成功例とされてきたやり方が通用しなくなってきていることは明らかです。

現在は、自分の努力以上に経済が成長することにより自社の業績を押し上げてくれるような環境ではないことから、いつ顕在化するかわからないリスクと隣り合わせになる状況下においては、今まで以上に自らのマネジメントがより重要な要素となってきます。

その中でも資金繰りを管理するということは、特に重要な経営管理となってきており、持っているお金やこれから得るお金、これから出ていくお金をいかに把握して、将来に向けて効率よく適切に配分していくかを判断するためには必要です。

したがって、資金繰り表を一過性のものとして作成するのではなく、経営において常に利用し、これからのビジネス環境において何よりも優先すべき経営管理として位置づけるべきことではないかと思います。

あとがき

資金繰り表を作成することは、金融機関等の外部の機関からの指示により作成するものではなく、そもそも経営において必要と感じて作成するものであることを改めて認識する必要があります。

そして、資金繰りを管理することはどのような企業でも入出金が発生してお金を回さなければならない以上、必要な管理であり必然的に実行している管理となります。

資金繰り表を作成して融資を受けたから満足するのではなく、その借りたお金を返し続けるためにも、作成した資金繰り表を活かしつつ資金繰りの管理を自らきっちりと行う必要があるのではないかと思います。