【中小企業向け=経営管理のキホン】今の時代に必要で優先すべき経営管理とは!?

こんにちは、ひめのです。

今回は、今の経営環境に適した経営管理、とりわけ数字の管理について、どのようなことを優先すべきか?という点について書いてみたいと思います。

今の時代はどのような経営環境??

昨今の経営環境を一言で表すと「不確実性の高い経営環境」と表現できるのではないでしょうか。

まずは、「不確実性の高い経営環境」とは、どんな経営環境かというところを見ていきます。

例えば、昨今の経営環境の特徴としてどういうキーワードが挙げられるかというと、

■グローバル化
■ボーダレス化
■技術革新の加速
■リスク社会

といった、ことがあるかと思います。

これらが要因となって、先行きが見通しにくく、変化の激しい経営環境になっているのが現状です。

もう少し具体的に書きますと、インターネットや物流等の発展・普及により、企業のグローバル化や他国地域とのボーダレス化が進み、国内企業以外の海外の企業が提供するサービスを積極的に利用するようになりました。

また、DX然り、様々な技術革新が加速度的に進んでいるのも特徴です。

そして、昨今のコロナ禍等のように、世界情勢の変化に対して直接的に影響を受けてしまう環境となっており、企業はかつてないほどにリスクに晒されている経営環境であるといっても良いと思います。

そのような状況下において、企業間の競争はますます激しくなっており、自社の市場でのポジショニングも環境の変化に応じて変えていかなければ、生き残って維持していくだけでも大変です。

今は損益よりも資金を重視すべき経営環境

今の経営環境下で必要なこととは!?

では、このような経営環境下において、企業を維持・成長させていくために必要な管理とは何でしょうか?

まず、今とは逆の状況として、世の中が経済成長にあるとき(昔の日本における高度経済成長期等)について考えてみると、そのような環境下では右肩上がりの経済情勢であり、やればやるだけモノやサービスが売れることが想定されます。

この場合、損益(売上)だけを追いかけた管理をしていても、どんどんお金が流入してきて、お金が回っている状況を維持することができますので、とにかく売上を上げることに注力しておけば良いかもしれません。

また、経済全体が活況ですので、とりわけ資金調達もしやすい環境ですし、短期的な視点で経営活動したとしても大きな支障とならないのではないかと思います。

一方で、現在の不確実性の高い経営環境では、変化のスピードが早い上に変化の度合いも大きいことから、常に環境の変化に対応できる準備をしておく必要があります。

そのためには、長期的視点で管理することが必要であり、長期的な視点で管理するためには「損益」ではなく「資金(キャッシュ・フロー)」を重視して管理する必要があります。

なぜ、長期的視点のためには「損益」ではなく「資金」が重要なのか!?

損益だけの管理では、なぜ長期的視点にならないのか?という点を解説します。

まず、損益は月や年といった事業の特性を無視した区切りで算出されることが一般的で、その区切りで判断することになると短期的な視点になりがちです。

そして、売上が上がっていたとしても、その売上が実際に資金として流入したかどうかは、損益を見ただけでは分かりません

したがって、売上が多いからといって、必ずしもそれに対応した資金が即座に使えるかどうかは別問題のため、資金使途に関する戦略的な判断がしにくくなります。

つまり、企業が成長段階でもっと事業に投資すべきフェーズであれば、たとえ損益が赤字でもお金さえあれば投資すべきところを、損益だけを追いかけてしまうと、例えば「赤字だから広告や採用は控えよう」という判断になってしまう可能性があります。

そうした損益中心の管理では「事業に対する投資の回収」という観点での判断ができず、事業への最適な資源配分(資金使途の判断)ができない状況に陥ってしまいます。

本来、企業は1年や1ヶ月で事業を終わるために活動しているわけではありませんから、長期的に見て「何が目標で、そのために何をすべきか」という点を考えると、損益中心の管理は危ういといっても過言ではありません。

長期的視点のためには「資金」中心の管理がより優れている点とは!?

資金中心の管理にすると、長期的な視点での判断がしやすくなります。

具体的には、まずは環境の変化に対応しうる資金的な余裕度が測れるようになります。

資金的な余裕度が測れるようになれば、変化に対応した資金需要の把握とその準備を事前に行えますので、たとえ損益が赤字でもお金が回ってさえいれば、危機を乗り越えることができます。

また、長期的にビジネスが適切に成長する判断ができるようになります。

つまり言い換えると、損益上赤字であったとしても、適切なタイミングで人的リソースや広告費、開発費といった事業への投資を実行するいう、戦略的な判断が行えるようになります。

その他、資金の管理をしっかり行っていると、資金調達の一助にもなります。

さまざまな資金調達における信用度は、お金の回り具合がどうなっているかで変わってくることもあります。

そして、お金の回し方(使い方)が健全であるかどうかは常日頃から管理していなければわかりません。

したがって、資金中心の管理をしっかり行い、資金の管理状況を開示することで、外部に対して安心感や信頼を得ることができ、不確実性の高い環境下でも資金調達しやすい状況を作り出すこともできます。

まとめ

今回の内容は、今の時代における優先すべき数字の管理は「資金の管理」であるということを書きました。

もちろん「損益の管理」も経営管理には重要です。

損益の管理をしなければ業績は把握できませんし、税金コストを見積もることもできません。

しかし優先順位は間違えてはいけないと思います。

損益の管理は基本的に過去の情報を扱うことになるので優先順位としては資金の管理よりも下がるといえます。

日々のお金の管理はもちろんのこと、中長期的に事業をどのように維持発展させていくかというビジョンを考察するにあたっては、資金の使途が密接に関係してきます。

特に今の不確実性の高い時代においては、現在から未来にかけての管理が今まで以上に重要度を増しており、そのためには資金中心の管理とすることが大切であることを認識していただきたいと思います。