(経理初心者向け) リース会計って何??→わかりやすく解説します!

最終更新日

*当記事のリース会計に関する記述は、2021/10/30現在に公開されている情報をベースにしておりますので、新たに2023年5月に公表された公開草案に関する内容は含まれておりません。

改正リース基準の公開草案についてのブログはこちらです!

こんにちは、ひめのです。
最近では様々な取引がリース取引となっていることもあり、リース取引を行なっている事業者は多いと思います。

リース取引の正しい会計処理をするためには、処理方法を知る以前にリース取引を分類するための検討が必要になります。

今回はその点を中心に解説したいと思います。

リース会計って何??

リース会計について書かれている基準はこちらです。

企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」
企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」

リース取引を会計処理するにあたっては、まずリース取引がどの分類に該当するかを把握し、その分類に従って会計処理します。

また、例外的な取り扱いもあるので、今まで特に意識せず会計処理していたものが実は例外的な取り扱いで、状況によっては処理方法が変わってしまう可能性があるかもしれません。

リース取引の分類

リース取引の分類は以下とおりです。

①リース取引の分類

■ファイナンス・リース取引(②へ)

■オペレーティング・リース取引
 →賃貸借処理

②ファイナンス・リース取引の分類

■所有権移転ファイナンス・リース取引の分類
 →売買処理(資産計上して、通常の固定資産取得と同様に償却)

■所有権移転外ファイナンス・リース取引の分類
 →売買処理(資産計上して、リース期間定額法により償却)

ファイナンス・リース取引に該当するか否かの判断

ファイナンス・リース取引かどうかは、次の二つを満たす場合にファイナンス・リース取引に該当します。

■ノンキャンセラブル

リース契約上リース期間中に途中解約できないリース取引で、契約上は中途解約可能であったとしても多額の違約金の支払いが必要で実質的に解約不能である場合も含まれます。

■フルペイアウト

借手がリースにより使用するものからもたらされる「経済的利益」を実質的に享受することができ、かつ、リースしたものを使用する上で生じるコストを借り手が実質的に負担しているリース取引です。

具体期には、「現在価値基準」「経済的対応年数基準」いずれかに該当する場合にはファイナンス・リース取引として扱うこととなります。

要するに、リース取引でも「通常購入した場合とほぼ同等の効果が得られる場合にはファイナンス・リース取引となり、売買処理が必要です」ということになります。

所有権移転か否か

ファイナンス・リース取引が所有権移転かどうかを判断するにあたっては、いずれかに該当する場合、所有権移転ファイナンス・リース取引となります。

①リース契約上、リース期間終了後かリース期間の中途において、所有権が借手に移転するとされている場合

②リース契約上、リース期間終了後かリース期間の中途において、リース物件の価額に比べて著しく有利な価額で買い取ることができる権利が借手に与えられており、その権利行使が確実と予想される場合

③借手の用途等に合わせてリース物件を特別仕様に製作したり建設したりしたものであり、返還後再びリースすることや売却することが困難であるため、使用可能中は借手のみ使用されることが明らかな場合

例外的な取り扱い

所有権移転外ファイナンス・リース取引については、利息相当額の各期への配分方法について、リース取引に重要性が乏しいと認められる場合定額法によることができるほか、借手の場合は利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法によることができます。

なお、貸手の場合はリース取引を主たる事業としていない場合のみ定額法を適用することが可能です。

また、借手側での所有権移転外ファイナンス・リース取引では、少額のリース取引短期のリース取引については、簡便的に賃貸借処理によることができるとされています。

具体的には、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引、リース期間が1年以内のリース取引等が該当します。

税務上の取り扱い

税務上の取り扱いについても、基本的にはリース会計基準と同じ扱いとなりますが、税務上の場合は会計上で所有権移転外ファイナンス・リース取引について簡便的に賃貸借処理を行なった場合でも、売買処理をすることとされています。

ただし、

■所有権移転外リース取引はリース期間定額法で償却

■賃借人である法人がリース料の額を損金経理しているときには、そのリース料の額は償却費として損金経理をした金額に含まれる

■リース資産の取得価額は、原則としてそのリース期間中に支払うべきリース料の額の合計額

となっていることから、仮に簡便的な賃貸借処理を行なったとしても税務調整が必要になることは稀であると考えられます。

あとがき

以上がリース会計に関する解説でした。

簿記の勉強をした場合は上記の分類の検討は省かれており、それぞれの分類に対する具体的な処理方法のみを正しく計算する知識があれば問題ありません。

しかし、実務上は処理方法以前に、何に該当するのかという検討が難しく時間がかかる部分でもありますので、是非一度は会計基準を読んでいただけたらと思います。