(経理初心者向け) 引当金って何?? →わかりやすく解説します!
こんにちは、ひめのです。
以前、貸倒引当金とは?というブログを書きました。
今回はその貸倒引当金も含めた「引当金」とは何か?という点について事例も交えて解説したいと思います。
引当金って何??
引当金は企業会計原則注解に定義されてます。
<引当金>
将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。
(企業会計原則注解 注18より)
この定義は次の4つに分解することができ、これを引当金の4要件といいます。
(試験の時は呪文のように覚えた記憶があります。。。)
①将来の特定の費用又は損失であること
②その費用又は損失の発生が当期以前の事象に起因していること
③その発生の可能性が高いこと
④金額を合理的に見積ることができること
一番馴染みやすいと思われる「賞与引当金」に当てはめると、各要件の意味が理解しやすいかと思います。
①将来の特定の費用又は損失であること
→期末日後、将来支払うべきものでまだ確定していないもの
【賞与引当金】期末日後に賞与の支給日がある
②その費用又は損失の発生が当期以前の事象に起因していること
→将来支払うべきものの発生原因が、当期以前にある
【賞与引当金】賞与には支給対象期間があり、その対象期間を通じて従業員が労務という役務提供を行うことに対して賞与が支払われる
③その発生の可能性が高いこと
→過去の実績や経営環境を勘案すると発生する可能性が高い
【賞与引当金】業績の変動や今までの支給実績を踏まえると予定通り支給される可能性が高い
④金額を合理的に見積ることができること
→一定の基準や客観的な情報等により合理的に金額が測定できる
【賞与引当金】基本給×●ヶ月分等の支給基準がベースとしてある
この4要件に当てはまる場合には、賞与引当金を計上することとなります。
違う言い方をすると、賞与に関する規程が存在している場合や、事前に会社の意思決定期間により支給が決定されている場合において、その支給の発生可能性が高く、支給額の見積もりが可能な場合には、賞与引当金を計上します。
「〇〇引当金という勘定科目があるからそれに合致したものを計上する」というのではなく、あくまでも「4要件に当てはまる事象」があれば何らかの引当金を計上することになります。
逆に、不確実な偶発債務のようなものについては、引当金として計上できないこととなっており、この偶発債務に関しては注記で情報開示することが別途定められています。
引当金の種類
では、次に引当金の種類の例を紹介します。
●貸倒引当金
●賞与引当金
●役員退職慰労引当金
●役員賞与引当金
●受注損失引当金
●退職給付引当金
●ポイント引当金
●債務保証損失引当金
●売上割戻引当金
●返品調整引当金
●修繕引当金
など
さまざまな引当金がありますが、みなさんの私生活にも関係する「ポイント引当金」について少し解説したいと思います。
ご存知の通り、飲食店や小売店で購入するとポイントカードやアプリにポイントを加算してくれるお店があります。
ポイントは、次の買い物で利用できたり何か別のポイントに変えることができたりという特典があるのが一般的です。
ポイントを付与する側としては、ポイントを付与した時点ではポイントを実際に利用されるかわかりませんし、ポイントが使用されないまま失効することも想定されますが、一定数はポイントを利用し売上の値引きとして扱われたり費用として扱われることとなります。
このポイントが使用されることについて引当金の4要件に当てはめ、過去のポイント使用実績などを元に引当金を計上するのが「ポイント引当金」です。
ちなみに、引当金のうち貸倒引当金は「評価性引当金」に分類され、それ以外は「負債性引当金」に分類されます。
評価性引当金とは、売掛金や貸付金の債権の回収不能に備えた引当金で、債権に対して「回収可能性を評価して減額する分を引き当てている」というイメージかなと思います。
一方、負債性引当金は、「将来費用として支出する分をあらかじめ事象の発生した事業年度で費用を認識するため」の引当金と考えると良いと思います。
税務との違い
税務上の引当金の取り扱いは会計とは異なります。
貸倒引当金と返品調整引当金は損金算入限度額があり、一定金額以上は損金として認められません。
また、それ以外の引当金については基本的には損金算入せず別表調整する対象となります。
法人税法では「債務確定基準」をとっていますので、債務が確定したと認められる一定の要件を満たさなければ所得計算上損金として算入することができないこととなっています。
したがって、引当金については会計と税務で差異が発生し税効果の対象になることが多いです。