(経理初心者向け)棚卸資産の評価方法って何?? →わかりやすく解説します!

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こんにちは、ひめのです。
以前、棚卸資産とは何?というブログを書きました。その次のステップとして、今回は棚卸資産の評価方法について書きたいと思います。

棚卸資産の評価方法とは??

まずおさらいです。

棚卸資産とは「商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等」のことであり、販売目的で仕入れた商品や製造後の製品、製造途中の未完成製品(仕掛品)が対象になります。

これら棚卸資産をどのような方法で計算して金額を算出するかということが、棚卸資産の評価方法になります。

たとえば商品の販売を例にすると、棚卸資産の金額は「単価×個数」となり、この「単価をいくらにするか」ということを決めるための方法です。

棚卸資産の評価方法とその選択については、企業会計基準と税法で異なる部分がありますが、主に会計基準上の内容について解説したいと思います。

棚卸資産の評価方法の種類

①個別法
 取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法
個別法は、個別性が強い棚卸資産の評価に適した方法である。
②先入先出法
 最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法
③平均原価法
 取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法
 なお、平均原価は、総平均法又は移動平均法によって算出する。
④売価還元法
 値入率等の類似性に基づく棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に、原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とする方法
売価還元法は、取扱品種の極めて多い小売業等の業種における棚卸資産の評価に適用される。
 
企業会計基準第 9 号 棚卸資産の評価に関する会計基準 より

①個別法は、
一つ一つ個別に評価する方法で、個別性が強い宝石や骨董品などが対象になります。

その他、建設会社の未成工事支出金も工事ごとに評価するため個別法を採用するのが一般的です。

②先入先出法は、
先に仕入れたものから出庫・販売されると仮定した評価方法です。

③平均原価法は、
一定期間の仕入れた商品の平均仕入れ単価を出すようなイメージの評価方法です。

④売価還元法は、
多品種の商品を扱うような場合、品目別に算定することが煩雑となるため、売価を利用した計算をする方法となります。

この方法は、スーパーやコンビニといった業種が採用するケースが多いです。

販売目的で保有する棚卸資産の評価基準

販売目的で保有する棚卸資産は、期末日時点において正味売却価額よりも下落していた場合は、その価額まで引き下げて期末の貸借対照表に計上しなければなりません。

正味売却価額とは、簡単にいうと市場の価格です。
市場の価格が把握できない場合は、合理的に算定された価額を売価とすることとされています。

合理的に算定された価額とは、過去の販売実績に基づいて算出された価格(平均値等)や、契約で決められた一定の価格を用いることが含まれます。

また、上記以外にも正常な営業循環過程から外れたものについては、処分見込価額まで切り下げる必要があります。長期滞留品トレンドが過ぎてしまった商品などが該当します。

これについては、商社などで多品種を扱っており大量に流通している場合等は、一定の回転期間を超えた部分について規則的に評価損を計上する方法もあります。

税法上の評価方法と会計基準との相違点

税法上の取り扱い

税法上は次の6種類があり、さらに原価法低価法任意に選択することができます。

ただし、これらの選択には届出をして所轄税務署長の承認を受けなければなりません。特に届出をしなかった場合は自動的に最終仕入原価法(原価法)になります。

・個別法
・先入先出法
・総平均法
・移動平均法
・最終仕入原価法
・売価還元法

会計基準との相違点

まず、会計基準上は原則として最終仕入原価法は認められていません

最終仕入原価法によった場合、期末の棚卸資産のうち一部については実際の取得した価格で評価されることになりますが、その他の分については結果として「時価に近い価額」で評価されることとになってしまいます(実際よりも過大に計上される恐れがある)。

したがって、期末の棚卸資産のほとんどが最終の仕入価格で取得している場合等、期間損益に影響がないと考えられる場合、またはそもそも棚卸資産に重要性がない場合においてのみ認められるとされています。

次に、もう一つの相違点についてです。

税法上の低価法と、会計基準上の正味売却価額まで切り下げる方法は、基本的には同義と考えられており、税法上低価法の届出を出していれば税務上調整の必要はないものと思われます。

違いが出てくるのは滞留在庫等に関する評価損に対する取り扱いです。

前段に書いたように、会計基準上は滞留品やトレンドが過ぎてしまった商品などの正常な営業循環過程から外れたものについては、処分見込価額まで切り下げる必要があります。

この点税法上も棚卸資産の評価損は認められていますが、その判断基準に相違があります。

会計基準においては、単に商品のトレンドが過ぎてしまった場合や、新商品を販売するにあたり販売の可能性はあったとしても既存の商品の販売が見込めなくなると判断した場合、滞留品について過去の実績に基づいた一定の基準で機械的に評価減する場合があります。

一方税法上では、評価損を計上するにはその事実が明らかでなければならない等より明確な線引きが求められるため、税法上は評価損を行う範囲が会計基準よりも狭まるといえます。

したがって、会計基準上は評価損を計上しても税法上は認められないため別表調整し税効果の対象となるケースは良くあります。