(経理初心者向け) 人事労務関係の会計処理について解説します!

こんにちは、ひめのです。
人事労務関係の会計処理は、意外とややこしいので慣れていない経理担当者は処理に悩むことも多いと思います。

今回は、給与、社会保険、労働保険を中心に会計処理の基礎について解説したいと思います。

人事労務関係の会計処理について解説します

給与の会計処理

給与の支払いに関する会計処理をみてみましょう。

給与に関する会計処理は、給与の締め日で未払金計上し、支払日に未払金を精算するような会計処理をします。

具体的な仕分け例は次のようになります。

【計上時

借方 金額 貸方 金額
給与手当 300,000  未払金 253,000 
    預り金(社会保険) 40,000 
    預り金(雇用保険) 1,000 
    預り金(源泉所得税) 6,000 

支払い時

借方 金額 貸方 金額
未払金 253,000  現金預金 253,000 

社会保険の会計処理

社会保険は事業主負担分と従業員負担分があり、双方合わせて会社が支払います。

会社負担分は「法定福利費」の科目で処理し、支払い時は従業員から控除した預り金とともに処理します。

実務上の方法は様々ですが、未払金だけで消し込みたい場合は、事前に預り金を未払金に振り替えた上で未払金を消し込みます。

【会社負担分の計上と従業員負担分の振替】

借方 金額 貸方 金額
法定福利費 41,000  未払金 81,000 
預り金(社会保険料) 40,000     

【社会保険の支払い】

借方 金額 貸方 金額
未払金 81,000  現金預金 81,000 

源泉所得税の会計処理

給与から控除した源泉所得税は、給与を支払った翌月10日までに納付するのが原則です。

会計処理はいたって単純で、源泉所得税の納付時に預り金を減少する仕訳を計上します。

借方 金額 貸方 金額
預り金(源泉所得税) 6,000  現金預金 6,000 

労働保険の会計処理

労働保険の会計処理は少しややこしいです。

労働保険は、主に労災保険と雇用保険に分かれ、労災保険は会社負担分のみであり、雇用保険は会社負担分と従業員負担分があります。

そして、労働保険については、毎年7月に申告することになりますが、基本的に前払いする制度となっています。

したがって、申告時には、4月から3月までの給与等の実額に応じた労働保険の金額を計算し、前払いした労働保険と相殺して精算するとともに、次の年分の労働保険の前払いも同時に行います。

通常は確定した労働保険の金額と同額を前払いしますが、例外もあります。

【労働保険の前払い】

借方 金額 貸方 金額
前払費用 50,000  現金預金 50,000 

【労働保険の従業員負担分】
※毎月、給与額に応じて計算して未払計上します。

借方 金額 貸方 金額
法定福利費(雇用) 2,000  未払費用(労働保険) 3,000 
法定福利費(労災) 1,000     

【労働保険の申告・来期分の前払い】
※最終的な申告金額は70,000円だった場合

借方 金額 貸方 金額
未払費用(労働保険) 40,000  前払費用 50,000 
預り金(雇用保険) 28,000  現金預金 20,000 
法定福利費 (差額) 2,000     
前払費用(翌期概算) 70,000  現金預金 70,000  

給与額に応じて料率を乗じた金額を毎月計上している場合、理論的には精算時に差額は出ませんが、申告時に年間の合計額で計算するのと毎月計算して積み上げていく違いもありますので、多少差額が出ることはあると思います。

また、労働保険の申告のタイミングまでの間に決算期を迎える場合は、前払費用、未払費用、預り金がそれぞれ計上されることになります。

その場合、同じ取引について貸借に両建て計上となっていますので、それぞれ相殺して表示します(通常は前払費用か未払費用が残ると思います)。

ただし、税務会計のみの中小企業の場合は相殺しなくても実害がありませんので、そのような処理はしていないケースの方が多いと思います。

あとがき

以上が、人事労務に関連する会計処理の解説でした。

こちらは、ごく一般的な事例の会計処理ですので、実際には従業員が何人もいたり入社退職が期中に何回もあったりと、実務上は複雑になっているのが通常ですので、基本の仕訳をイメージしつつ応用して対応しなければならないことはいうまでもありません。

特に社会保険の金額は、賞与があったり入社退職があったりすると、支払う保険料が変動するとともに、社会保険の申請時期により請求タイミングがずれてくることがあります。

そうなった場合、きれいに未払金が消しこめず残高が中途半端に残ったりして管理も難しくなりますので注意が必要です。

人事労務の会計処理については社会保険や労働保険の事務もある程度理解しておかなければスムーズに実務をこなせないのかなと思います。