(経理実務のポイント)在庫管理のポイントについて、わかりやすく解説します!
こんにちは、ひめのです。
たくさんの商品を扱っている小売や卸売ビジネスをする場合、在庫管理を適切に行わなければ損益だけでなく資金繰りにも悪い影響を及ぼす可能性があります。
しかし、小さい企業になればなるほど在庫管理については疎かになりがちです。
そこで今回は、これから在庫管理をちゃんとしたいと思っている人のために、在庫管理のポイントについてわかりやすく解説したいと思います。
在庫管理の大切さ
小売業や卸売業など、商品を一定数保有して販売するビジネスを展開する企業にとって在庫管理は非常に重要です。
販売するためにはまず商品を仕入れる必要がありますが、先行的に資金が流出していきますので、むやみやたらに何でもかんでも仕入れるわけにはいきません。
かといって品揃えが悪いと顧客から求められた時にすぐに販売できませんから、資金的な余裕度を保ちつつ適度な在庫を保持しておくことがこの業種の経営では大切となってきます。
また、大量に仕入れてしまうと不良在庫として残ってしまい、二束三文で処分しなければならない状態に陥ってしまうこともあります。
売れ残りを出さずにいかに仕入れていくかが大切ですが、そこがまた難しいところでもあります。
したがって、なるべく小ロットで仕入れられるようにしたり、注文したら比較的短期間で納品してくれたりできるように、仕入れ先との間で交渉しておくことも考えなければなりません。
在庫管理のポイント
具体的に在庫管理はどのように行うものなのか簡単に解説したいと思います。
在庫管理のポイントは例えば次のようなことが挙げられます。
・商品ごとに入出庫の都度、受払簿を更新する
・棚卸や入出庫がしやすいように倉庫のロケーションを考える
・得意先の需要をリサーチし、それに合わせた仕入れ計画を立てる
・市場の状況をリサーチし需給バランスを把握する
入出庫の都度受払簿をつけるのは在庫管理の基本です。
受払管理をしていないのであれば、まずは受払管理から始めて、在庫の状況をタイムリーに把握することから始めることをお勧めします。
次に、倉庫を整理整頓しておくことは重要です。
最低でも年に1回は実地棚卸をすると思いますが、適切に商品を保管しておかないと正確に数を数えることはできませんし、入出庫の際に手間がかかってしまいます。
また、整理されていないと商品自体も毀損してしまったり奥の方にあってなかなか払い出されずに劣化してしまったりしますので、余計な損失を出してしまう原因にもなります。
3つ目は得意先のフォーキャストを把握することです。
特に卸売業の場合だと、不特定多数の個人に販売するのではなく、ある程度特定された得意先に販売することが想定されます。
したがって、得意先とのコミュニケーションを円滑にしてどの時期にどの程度調達したいかを事前に把握しておくことで、そこに合わせて適切な量の発注をかけることができ、在庫の無駄を省くことができます。
最後は、市場の動向を見て需給バランスを把握しておくことです。
世の中の情勢によっては物が不足してしまうことがあります。
現に今コロナ禍においては一部の部品や材料が品薄になり、それらを使用して作る製品を作ることができなくなっている状況も見受けられます。
市場の動向を注視しておくことで、自社が販売する商品が不足しそうな状況にあれば通常よりも多く調達しておくなどの対策が必要です。
どんな時も安定供給できるということは一つの強みにもなります。
ただし、品薄を見越して多めに調達するということはそれだけ資金的にも圧迫してしまうことにもなります。
そのため、そのような判断をする場合には、資金調達とセットで考えたり、資金繰りの管理をいつも以上に緻密に行ったりする必要も出てきます。
中小企業の在庫管理の実態
中小企業のなかでも特に小さい企業になると、受払管理もままならない企業もあります。
そもそも、小さい会社は税務会計中心となっているため、税法上は特に自ら選択しない限りは棚卸資産の評価方法は最終仕入原価法となっています。
したがって、期末の数量さえわかっていれば、最終調達価格で在庫金額を算出してしまうため、会計処理の過程では入出庫の動きを追いかける必要がない状況を作り出してしまいます。
これが仮に、移動平均法や先入先出法等を採用している場合は、入出庫の履歴がないと適切に棚卸資産の金額を算出することができませんので、必然的に受払管理もセットで考えることになります。
企業会計基準に準拠しなければならない上場企業等であればその辺りは当然のことですが、小さい企業となるとどうしても、その辺りの管理まで行き届いていないのが現状ではないでしょうか。
しかしながら、先ほども書きました通り、ビジネスを行う上で在庫管理は戦略上重要な要素を持っているため、本来はどのような企業でも在庫管理を突き詰めていかなければならないものであると思います。
もし在庫管理を疎かにしているのであれば、管理コストを嫌った結果もっと大きな損失を発生させているかもしれないことに気づくべきではないかと思います。
あとがき
以上、在庫管理のポイントについて書きました。
損益だけでなく資金繰り的にも重要なのが在庫管理ですので、今回のブログが自社で在庫管理が必要かどうかや、在庫管理をしなかった場合にはどれほどの影響があるかという点について考えるきっかけになれば幸いです。