(中小企業の経理) 資金繰り管理のシステム化で変わる会計事務所との関係
こんにちは、ひめのです。
以前のブログで「経理を再定義する(Redefine)」という内容を書きましたが、その延長として、資金繰り管理をシステム化することで、従来の会社と会計事務所との関係が良い意味で変わると私は考えています。その変わる要素について今回は書きたいと思います。
資金繰り管理のシステム化で変わる会計事務所との関係
資金繰り管理をシステム化すると、会計事務所との関係はどう変わるのでしょうか。
以下、記帳代行業務を委託していることを想定してその内容を解説したいと思います。
システム化により資金繰りの管理が徹底されることが前提
まず、資金繰りのシステム化で会社と会計事務所の関係が変わるといっても、会社側でシステム化により資金繰りの管理を徹底できる体制を組まなければなりません。
とはいえ、会社で会計ソフトを使って仕訳入力し試算表まで作るような体制を作るほど大変なことではないです。
資金繰りの管理が徹底できている状態とは次のようなことができている状態です。
・予定の管理に関する記録をきっちりすること
・その記録を第三者が見てもすぐわかるよう記載すること
・記録に対するエビデンスを整理すること
ここでの「予定の管理に関する記録」とは、次の記録のことです。
・売上に関する、入金の予定とその回収結果
・仕入や経費、その他支払いの予定とその支払結果
この2点を記録しつつ、資金残高と組み合わせることにより、資金繰りの予定が管理できます。
「記録を第三者が見てもすぐわかるよう記載する」とは、入出金の内容について、取引先名や取引内容などを記載し、どのような取引なのかということを記録している本人以外が見た時に一目でわかるように記載しておくことです。
管理者と利用者が同一であれば問題ないですが、管理者と利用者が違う場合(経理担当者と経営者、会社と会計事務所など)は、利用者は普段記録していませんので内容を読み解くためにはある程度の情報が必要です。したがって第三者が見てもすぐにわかるような記載にしておくことが大切です。
「記録に対するエビデンスを整理する」とは、入出金の記録に対する請求書や領収書、その他証拠となるエビデンスを、整理整頓しておくということです。
通常「記録を見る→その記録に対するエビデンスを確認する」という流れになりますので、入出金の月別や収支別などに分けて、分かりやすく整理しておく必要があります。
会計事務所とのコミュニケーションが円滑になる
徹底された資金繰り管理の結果を、毎月会計事務所へ提出することにより、仕訳入力に関する情報提供に役立ちます。
場合によってはシステム化することにより環境を共有することができ、より円滑に情報の授受を行うことが可能となります。
そのためにも、会社と会計事務所で事前にしっかり協議し、どのように記録を残しどのようにエビデンスを提出するのかといったことを決めておくことが重要です。
会社と会計事務所との間の情報のやりとりが円滑になるということはコミュニケーションが円滑になるということであり、結果として効率化にもつながります。
例えば次のようなメリットがあります。
・事務作業に近い業務対応時間が減り、生産性が向上する
・余剰時間によって、より深いコミュニケーションが取れる
・資金繰りの管理状況を共有することで、財務的なアドバイスも得られる
など
会計事務所に記帳代行をお願いするケースは多いと思いますが、事務的な作業よりも会計税務の専門家としての会社の実情にあったアドバイスや支援を受けることが会社にとっては重要なことです。
それを享受するためには、会社と会計事務所との間での円滑なコミュニケーションの実現が必要であり、その関係を築くための手段が資金繰り管理のシステム化であると提言します。
自社で中途半端に会計ソフトに入力しない
別の方法として、会社側で会計ソフトに仕訳入力するという方法です。
これは会社に経理機能を有することを意味しており、ある程度簿記がわかる経理担当者を配置することが前提となります。
それができない中で自社により会計ソフトを活用しようとすると、かえって非効率です。
事業が小規模のうちや小規模のまま維持する場合は別ですが、通常会社の仕訳入力業務は様々な取引ごとに会計処理を検討することになり、会計事務所の指導の元であったとしても会計業務の未経験者が一朝一夕で仕訳入力することは難しいです。
したがって中途半端な知識で会計ソフトに仕訳入力するぐらいなら、会計処理や科目の選択以前に、どのような取引なのかだけがちゃんと確認できる仕組みを作ってしまう方が、取引内容さえわかれば会計事務所にとって仕訳入力は容易にできるため、入力誤りのチェックや手直しといったことも少なくなくなり、よっぽど効率的です。
あとがき
資金繰りの管理はどの会社でも必要なことであり、事業を行う以上日々付いて回ることです。
特に会計事務所と密に付き合うことになる中小企業では、資金繰り管理に関する業務で記録した内容を仕訳入力に利用することができると、効率的で効果的な会計事務所との関係を築くことができ、結果として最適な経営管理が実現できるのではないかと考えています。