中小企業の会計実務 月次試算表の必要性についてぶっちゃけます!

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こんにちは、ひめのです。
今回は、中小企業の実情を踏まえた月次試算表の必要性について書きたいと思います。

月次の試算表を無理して作る必要はありません

月次試算表を無理して作成する必要がない理由を説明する上で2つのキーワードがあります。

 ①情報としての価値
 ②作成プロセス

です。

①情報としての価値

まず、月次試算表という情報の価値を考えてみてください。
経営者が常日頃、意思決定をする上で試算表の情報を活用しているでしょうか。

実態としては月次試算表はどちらかというと過去の振り返りに利用される場合が多く、会計事務所から提出され説明を受ける時にだけ見るというケースも多いと思います。

通常、事業は半永久的に継続させるべく経営者は日々経営努力をしています。
よほどのことがない限り、一月で終わるわけではなく、一年で終わるわけでもありません。

したがって、事業の状況によっては、戦略的に費用が先行することもあれば、季節的な変動で売上や利益が上がったり下がったりすることも想定されます。

そうした浮き沈みは当然やってくるわけで、様々な浮き沈みがあったとしても長期的に見れば右肩上がりのトレンドになっていることが経営では重要です。

月次試算表を見て、ある月は利益が出て、ある月は赤字になっていることに対して、「なぜそうなったのか?」というわかりきった分析をすることに、私としてはそこまで価値は見出せません。

事業環境の変化は経営者自身が肌で感じていて一番理解しています。
月次試算表はそれの答え合わせをしているようなものですので、業績を月の推移として見たいのであれば、あとからゆっくり見る程度で良いのではないかと思っています。

そう言った意味では、極端なことを言えば年度の比較分析もそこまで重要ではなく、増加・減少した要因を突き留めること自体は、直接的に事業の存続や発展に影響することではないです。

また、中小企業では税務中心の会計となっていることも情報の価値として「?」となる要因の一つです。

税務中心の会計の場合、会計理論から離れた処理をする場合もあるため、必ずしも事業をありのまま表現した試算表にはなっていません
中には節税対策で行った事業とは直接関係の薄い費用や資産が紛れてくると、さらに分析価値が下がってしまいます。

②作成プロセス

次に、月次試算表の作成プロセスについて考えてみてください。

損益を適切に計算するためには、複式簿記で発生主義の会計処理をしていく必要があります。

会計ソフトを活用して記帳したとしても、複雑かつ専門的な処理を行いますので、簿記の知識を有する人がちゃんと確認しながら帳簿を作成しいかなければならないため、作成にはそれなりに時間がかかります。

仕訳一つとっても、取引の内容によっては時間をかけて検討しなければならないものもあり、一筋縄でいかないのが会計です。

そして、中小企業では情報収集の体制が適切に取れていないことも多いです。

人員不足やIT化の遅れが影響し、試算表を作成するまでのプロセスが適切に整備されておらず、処理し忘れた請求書や領収書、未収未払の把握漏れなどがあとから判明して遡って修正せざるを得ないことも少なくありません。

上場会社のように、きっちり月で会計を締めるようなことはリソースを考えるとなかなか実現できることではないと思います。

そのような状況下で作成された月次の試算表は、その月全ての情報が網羅されていない可能性があります

中小企業の会計実務で優先すべき情報とは?

では、中小企業の会計実務において何を一番優先して管理すべきでしょうか。

特にリソースが少ない中小企業では、月次試算表を正確かつスピーディーに作成することにコストをかけることは望ましくありません。

そこに時間とコストをかけるのであれば、より正確な資金繰りの管理や事業に適した(1年を超える長期的な)期間の将来キャッシュフローの予測・管理に時間とコストをかけた方が、圧倒的に効率的でかつ有効性が高くなります。

月次の試算表は納税額を把握するためにも必要な情報ではありますが、経営のために数値を活かすという意味では、慣習的な月次試算表の作成よりももっと経営のための会計となる数値の管理に力を注ぐべきではないかと思います。