(会計基準を学ぼう) 税効果会計って何??→わかりやすく解説します!

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こんにちは、ひめのです。
今回は「税効果」会計について解説したいと思います。

経理担当者の中でも馴染みがない人も多く、難しい論点ではありますのでまずは概略を中心に説明できればと思います。

税効果会計って何??(税効果会計の概略)

税効果会計の会計基準はこちらです。

企業会計基準第 28 号 税効果会計に係る会計基準
企業会計基準適用指針第 26 号 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
企業会計基準適用指針第 28 号 税効果会計に係る会計基準の適用指針

会計基準の原文を読むと難しいと思う方も多いと思いますので、まずはイメージを掴んでもらいたいと思います。

税効果会計とは一言で言うと、「企業会計」と「税務会計」のズレを調整するための会計処理基準です。

「企業会計」上の会計処理と「税務会計」上の税務計算上では必ずしも一致しないものがあります。

例えば「貸倒引当金」や「棚卸資産の評価減」「減損会計」などが該当し、企業会計上は費用に計上しても税務会計上は損金にならないもの等がズレとなってきます。

税務上、一時的には損金とならなくても然るべき時期が来れば損金となるものが多数あります。

そのズレが税効果会計の対象です。

逆に交際費の損金不算入などは永久差異といって、税務上永久的に損金不算入のものであるため税効果会計の対象外となります。

ズレは企業会計上の税金費用の計上に影響してくるため、税効果会計によって企業会計上のあるべき金額に調整します。

税効果会計において使用する科目は以下の3つです。

(BS科目)繰延税金資産
(BS科目)繰延税金負債
(PL科目)法人税等調整額

繰延税金資産とは
・・・将来、税務上損金となる可能性が高いものの金額
(賞与引当金など)

繰延税金負債とは
・・・将来、税務上益金となる可能性が高いものの金額
(その他有価証券評価差額金など)

法人税等調整額とは
・・・繰延税金資産及び繰延税金負債の前年度との差額
・・・法人税等の金額を企業会計上のあるべき金額へ調整する金額

2つの理論がぶつかり合う!?税効果会計の理論的背景

会計理論において基礎的な2つの考え方があります。

それは

・資産負債アプローチ
・収益費用アプローチ

資産負債アプローチとは

資産は企業が支配している将来企業に流入する資源、負債は企業の現在の債務であって将来企業から流出する資源と定義づけられ、収益費用は資産と負債の変動差額であるという考え方

要するに、簡単に言うと資産負債の測定がベースの会計理論といえます。

収益費用アプローチとは

収益とは一会計期間の成果とし、費用は一会計期間の収益を得るための犠牲と定義され、その差額として利益を算出する考え方

要するに、簡単に言うと一会計期間の企業成績の測定を重視した会計理論といえます。

この2つの理論から税効果会計を見ていくと、

「税務会計上計算された法人税等(納税額)を会計上の利益に対応した税金費用に調整する」という考え方をすると収益費用アプローチ的となり、

「将来損金算入となって資源が流入する(税金費用が低くなる)可能性と、その逆の可能性の金額を測定して資産負債に計上し、その変動額を法人税等の調整額にする」と言う考え方をすると資産負債アプローチ的となります。

どちらが正しいとかはないですが、それぞれの考え方を知っていて今世界や日本の考え方の動向がどちらを重視しているのかを知ることは、実務を行う立場として非常に重要なことです。

また、こういった理論的な背景を理解すると、会計処理の適用にあたってイレギュラーな事象が発生した場合に適切に対応することができます

知ってると知らないとでは、イレギュラーな事象の際の対応に差が出て実務上の危うさを露呈してしまいますので、根拠となる基準を理解することが大事と思います。

なお、国際的な会計基準では資産負債アプローチを取る会計基準が主流であり、日本の伝統的な会計基準は収益費用アプローチを取ってきていましたが、近年は国際会計基準とのコンバージェンスも進み資産負債アプローチに沿った会計基準が多くなっており、過去の企業成績よりも将来の企業価値の測定を重視している流れになってきているといえます。

実務で大事な繰延税金資産の回収可能性の判断とは?

繰延税金資産の回収可能性の判断は実務上とても重要です。

前段で説明した「繰延税金資産」は将来損金算入された場合に税金費用の戻りという意味で資源が流入する可能性のある資産という位置付けです。

ここで問題になるのが、損金算入される可能性です。

当然企業に課税所得がないと損金算入されません。課税所得がないとは、企業の業績が良くなく赤字が続いてしまっている状態を意味します。

今後もそのような状況が続く見込みの中で、将来資源が流入するであろうという判断のもと資産計上するのはよろしくありません。

したがって、繰延税金資産が将来資源として流入する可能性が低い場合は、繰延税金資産を計上しません

これが繰延税金資産の回収可能性の判断です。

繰延税金資産の回収可能性の判断に当たっては、会社の状態を5つの分類の中から当てはめてそれぞれ基準に従った会計処理を行います。

5つの分類の解説は専門的となりますので、また次の機会に説明したいと思います。

ちなみに、企業会計に慣れておらず税効果会計をちゃんと理解していない会計事務所の方がよく勘違いしているのですが、税効果の計算自体は「一時差異×法定実効税率」という単純なものですが、そもそも税効果会計でもっとも重要なことは「将来減算一時差異」から算出される繰延税金資産の回収可能性があるかどうかという判断です。

会計の専門家と言われているのに、税効果=計算すれば良いという感覚をもっている方がいることが残念です。

会計の専門家と言われるのであれば、会計の深い部分をしっかり理解してクライアントに対して適切な助言等を行なっていただきたいなと思います。