(経理実務のポイント)こんな仕訳は見たくない!?やってほしくない仕訳の入れ方10選【前半】

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こんにちは、ひめのです。
会計帳簿は自己満足で作るものではなく、誰かに見せるために(提出することや説明のために)作成するものですので、自分が入力した仕訳を誰かが見ることを想定して実務を行わなければなりません。

したがって経理実務では、後でチェックしやすいように配慮した計上の仕方や、ミスが起きやすい仕訳計上を知っておく必要があります。

そこで、経理実務において「こんな仕訳の入れ方はしてほしくない」という具体的な事例10項目選んで紹介したいと思います。

長くなりますので、今回はまず前半5選を解説します。

こんな仕訳は見たくない!?
やってほしくない仕訳の入れ方10選(前半5選)

その1 摘要欄に何も書いていない又は内容が簡単すぎる

仕訳の摘要欄に何も書いてない仕訳は論外です。

仕訳を見てどんな取引かがわかるようにある程度情報を摘要に記載しないと、後から見た人にとったら「ただ科目と数字だけの仕訳」を見ても何が何だかさっぱりわかりません。

その仕訳に対応した資料にすら辿り着くのが困難となってしまいますので、仕訳の摘要欄に何も書かない又は内容が簡単すぎる記載はやめましょう

その2 複数行仕訳で貸借双方に考慮した摘要になっていない

「地代家賃100/普通預金100」のような1行の仕訳の場合は良いですが、例えば、ある社員の立替経費の精算に関する仕訳を1つの仕訳で計上する場合、借方は複数の費用科目を使用し、貸方は未払金や現金などの科目で精算額合計とすることがあります。

このとき、費用科目に対応した摘要の記載内容とすると、貸方の科目の元帳を見た時も同じ摘要の内容が記載されてきますので、「〇〇等」や「〇〇他」といった摘要欄の記載の工夫が必要です。

もしくは、あえて1行ずらして貸方科目と同じ行に費用科目を入力しないようにすることも一つの方法かと思います。

その3 前払費用/未払金の計上ルールが曖昧

まず前提として「前払費用100/未払金(未払費用)100」という仕訳は通常あり得ません。「払っていないのに未払いってどういうこと?」ってツッコミたくなります。

しかし、実務上管理しやすいようにあえて上記の仕訳にする場合もあります。

たとえば、社内の支払日が決まっていて、来月の支払一覧を作成して支払を管理している場合、試算表上の未払金の残高と支払一覧が一致しているようにしておくと管理がしやすくなりますので、翌月分の家賃の請求書が来た場合、一般的には支払った時に前払費用として処理とするものを、支払うべき日に未払金として加算するため、あえて「前払費用100/未払金100」の仕訳処理をすることもひとつの方法(実務上の知恵のようなもの)です。

ただしこの場合には、決算仕訳で「未払金100/前払費用100」を計上し、正しいBS残高に修正します。

このような運用をする場合には、仕訳計上のルールをしっかり決めておかないと、「あるときは未払計上しあるときは未払計上しない」という一貫性のないバラバラな処理となってしまい、計上漏れや二重計上の原因となる恐れがありますので注意が必要です。

その4 残高チェックのために時系列が整理されていない

残高チェックをする際、たとえばある相手先の未払金が正しい残高となっているかどうかのチェックの一つに、補助元帳を見て、ちゃんと毎月支払いにより残高がゼロとなって月末の新たな発生分のみが残高となっているかどうかを確認します。

この時、発生の計上を変な日付で計上してしまっていると、綺麗に残高がゼロとなっているかどうかがパッと見た時にわかりづらくなってしまうことがあります。

細かい話ですが、残高をチェックする時のためにチェックする側が見やすいような帳簿の動きとなるような配慮をした仕訳計上をすると、チェック業務の効率化にもつながります。

その5 消費税を考慮した仕訳になっていない

まず一つは、軽減税率の導入に伴い、仕訳入力がとても煩雑になっています。

一つの領収書に10%と8%が混在することも珍しくなく、経理担当者泣かせの業務ではないかなと思います。

したがって、なるべくこういう仕訳作業は1回で終わらせたいものですが、最初の段階でちゃんと消費税を確認せずあっさり全部10%で処理してしまっている仕訳もよく見かけます。

摘要を見るとどう考えても8%だろうなと思うような取引内容で10%で処理されてしまっていると、後から確認者の手間が増えますので、なるべくそのようなことがないように気をつけたいものです。

そしてもう一つは、固定資産の売却などにおいて消費税の認識を考慮してない仕訳を入力してしまうことです。

たとえば固定資産の車両を売却した場合においては「売却額-帳簿価額=売却損益」となりますが、売却額は課税売上ですので、売却額に対して消費税の認識ができるような仕訳入力が必要となります。

しかし、

借方 貸方
普通預金 330 車両運搬具 200
    売 却 益 130

と処理してしまうと消費税の認識が正しくされないままの仕訳となってしまいますので、課税売上高の集計漏れにつながります。

したがって、一旦全額収益科目で受けて消費税を認識しつつ、その後追加の仕訳で売却益の金額に調整するような工夫が必要です。

具体的な仕訳例は下記となります(最終的に売却益100となる)。

借方 貸方
普通預金 330 売却益(課税売上) 330
売却益(税対象外) 200 車両運搬具 200

前半のまとめ

以上「やってほしくない仕訳の入れ方10選」のうちの前半5選を紹介しました。

明日は後半の5選を紹介します。

いずれの内容も、自分自身や後から見る人が困ってしまうような内容ですので、知らなかった人はこれから注意して仕訳入力してもらえると良いかなと思います。