(IPO経理実務のポイント)在外子会社の連結はどうするの??外貨換算方法を解説します!
こんにちは、ひめのです。
連結会計についてのブログを以前書きましたが、今回は在外子会社を連結する際の外貨換算方法について解説したいと思います。
最近では海外に子会社を設立することも少なくないため、知っておくべき会計の知識かと思います。
在外子会社を連結する場合の外貨換算方法
連結財務諸表を作成する際には、在外子会社の個別財務諸表が外貨建てとなっているため、円貨に換算して連結しなければなりません。
その換算方法については会計基準で決められていますが、一律の為替レートで換算するのではなく、貸借対照表・損益計算書それぞれ換算方法が異なります。
貸借対照表(資産及び負債)
貸借対照表の資産負債については、決算時の為替レートで換算します。
資本連結手続で生じた在外子会社の時価評価に伴う資産負債の簿価修正額と、それに対応した税効果(繰延税金資産又は繰延税金負債)については、在外子会社の個別財務諸表の資産負債と同様に、決算時の為替レートで換算します。
貸借対照表(純資産)
貸借対照表の純資産については状況によって用いる為替レートが変わってきます。
資本連結手続において相殺する在外子会社の資本の額
①取得時の資本については支配獲得時の為替レートにより換算
②取得後に生じた資本の項目については発生時の為替レートにより換算
利益剰余金の変動に関する換算
①利益剰余金のうち当期純利益については損益計算書の円換算額
②利益剰余金のうち配当金の支払いについては配当決議日の為替レートで換算
損益計算書(収益及び費用)
損益計算書の収益及び費用については、期中平均レートにより換算しますが、決算時の為替レートにより換算しても良いこととなっています。
ただし、取引消去の対象となる親会社との取引に関する収益及び費用については、親会社が用いた換算レートとなります。
したがって、その分在外子会社の損益には差額が生じることになりますので、その差額は為替差損益として処理することとなります。
なお、期中平均レートとは次のように定義されています。
収益および費用の換算に用いる期中平均相場には、当該収益および費用が帰属する月または半期等を算定期間とする平均相場を用いることができます。
(参照:会計基準注解12より)
換算差額の処理
上記のように、資産負債の換算レート、純資産の換算レート、損益計算書の換算レートがそれぞれ違いますので、貸借対照表の換算には差額が生じてしまいます。
この差額については「為替換算調整勘定」という科目を用いて純資産の部に表示することとなります。
在外子会社の決算日が連結決算日と異なる場合
<貸借対照表>
在外子会社の決算日における為替レートにより換算します。ただし、在外子会社の決算日と連結決算日との間の期間で為替レートに重要な変動があった場合は、在外子会社は連結決算日で決算を行い、連結決算日の為替レートで換算する必要があります。
<損益計算書>
在外子会社の会計期間に基づく期中平均レートにより換算します。
のれん又は負ののれんの換算
のれん又は負ののれんについては、原則として支配獲得時の為替レートで換算し、のれんの期末残高については決算時レートで換算します。
また、のれんの償却については原則として在外子会社の会計期間に基づく期中平均レートにより換算します。
その結果生じる差額については為替換算調整勘定として処理することとなります。
非支配株主持分への按分
非支配株主がいる場合は、為替換算調整勘定も含めて在外子会社の資本を非支配株主持分に振り替えます。
ただし、のれんの換算から生ずる為替換算調整勘定については非支配株主持分に振り替えません。
理由は、のれんは在外子会社の親会社持分に係るものであり、非支配株主へ振り替えるべき性質のものではないからです。
あとがき
以上が在外子会社を連結する場合の外貨換算方法でした。
実務上は一筋縄ではいかない複雑な処理となる場合も多いため、この基本を理解して処理方法を検討できるベースを作ってもらえたらと思います。