(経理実務のポイント)決算早期化を実現するために抑えるべき、たった1つのポイント

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こんにちは、ひめのです。
「月次の数字が固まるのが遅い」「決算がなかなか締まらない」といった悩みを抱える企業は少なくありません。

今回は、そんな悩みに対する解決の糸口となるポイントを書きたいと思います。
(決算早期化のサポートもしていますので興味があればぜひご連絡ください)

決算早期化がなかなか実現しない理由

IPOを目指す企業は月次決算体制を整備し、月次を5営業日〜7営業日程度で締められるようにしなければなりません。

IPOに限らずとも、経営者としては実績を早く知りたいので、なるべく月次や決算が早く締まって欲しいと思う一方で、なぜそんなに時間がかかるのかと思う経営者もいます。

経理実務は複雑で、きっちり締めるとなると正確かつ網羅的に処理しなければならないため、相応の時間がかかってしまうことは否めません。

早期化がなかなか実現できない理由は、情報の遅延です。

通常企業では様々な部署で様々な人が活動しており、その中から会計処理の対象となる事象が発生しますので、決算を担う経理部ではその情報を多方面から取得しなければなりません。

どこかの部署がボトルネックとなることで情報の確認に時間がかかってしまい、結果としてなかなか決算早期化が実現しないということを招いてしまいます。

また、管理が適切でない場合は、かなり後から資料が出てきたりすることもあり、管理状態が健全でなければ早く数字を出してもその数字は信頼性が乏しいものとなってしまいます。

とはいえ、ポイントを抑えて適切に業務体制を構築・運用することができれば、決算の早期化はどの企業でも実現することが可能ですので、あきらめずに決算早期化に取り組んでいただきたいと思います。

決算早期化を実現するために抑えるべき、たった1つのポイント

決算早期化のポイントは

試算表の作成に必要な情報をいかに早く取得するか

です。

そのためには、

情報を得る過程となる業務プロセスを明らかにすること

が決算早期化には非常に重要となります。

自社にとって、決算早期化するためにはどこが一番ネックとなるのかを明らかにすることにより、その対応策を検討することができます。

また、試算表を作るまでの過程を明らかにすることにより、どのタイミングで誰が何の情報を提供しなければならないかがわかりますので、効率的な情報の取得が望めます。

試算表を作成するための情報的要素を分解すると次のようになります。

①現金・預貯金の入出金内容を明らかにする

取引は基本的に現金及び預貯金を介していますので、入出金の内容を明らかにする必要があり、その内容を基に会計処理を行います。

したがって、現金出納帳の整備預金明細の取得が早期にできるようにする必要があります。

取引内容によっては、確認に時間を要する場合もあるのであらかじめ不明点がないようチェックしておくことが大切です。

②入出金内容の証憑をもれなく整理する

入出金の内容について、その内容を確認できる証憑へすぐアクセスできるよう、常に整理してまとめておく必要があります。

会計処理を行うに当たっては、処理内容を誤らないために証憑類の確認は必須です。

次の要素にも影響しますが、各種支払いに関する証憑類は「これから支払うもの」「すでに支払ったもの」等のステータスに応じて適切に管理しておかなければ、後で困ってしまうことになります。

③売掛金買掛金、未収入金未払金の計上

こちらは、入出金が発生する前に計上するものですので、適切に情報取得しなければ計上漏れのリスクが高まります。

例えば、売上に関しては営業部や事業部に今月売上計上すべき分を適切に販売管理システム等へ情報を登録してもらわなければ、売上の把握漏れにつながります。

したがって、売上計上基準を、関係する部署の人に理解してもらった上で、売上の計上につながる情報を正しく入力・締め等してもらう必要があります。

買掛金や未払金は基本的には請求書が来るものなので、その資料を取得できていれば問題なく会計処理ができますが、例えば経理部ではない部署に届いているものや、明らかに今月計上すべき外注費などの請求書が未だに届いていない場合等、網羅的な把握にあたって注意すべきケースを明らかにしてチェック手順を明確にしておくことが求められます。

④その他非資金科目の処理、決算整理仕訳

減価償却費、棚卸資産、引当金等の見積もり項目など決算整理項目として処理するものについても、場合によっては経理部以外からの情報取得が必要になってきます。

棚卸資産は購買部であったり、賞与引当金や退職給付引当金は人事部であったりと、管理の管轄部署がバラバラのケースは良くあります。

それぞれでどのような確認が必要かを整理しておき、情報提供時期を明確にルール化しておくことが重要です。

決算早期化は経理部だけでは実現しない

経理部だけが頑張っても決算早期化は実現しません

理由は簡単で、会計処理のための情報は、様々な部署から取得しなければならないため、各部署での業務がきちんと完了し適切に情報提供されなければ、正しい会計処理ができず試算表の作成が遅くなったり誤ってしまったりしてしまうからです。

したがって、決算早期化は全社的に取り組むべきことであり、早期化できない要因は経理部自体の能力もさることながら、経理部以外にも原因があることが多いです。

以上のことを踏まえて、組織横断的に取り組んでいけば自ずと決算早期化の実現は見えてくるのではないかと思います。